め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - photo by 郡元菜摘photo by 郡元菜摘

め組「ME-GUMI LIVE TOUR 2024 -七変化-」
3/9@渋谷・Star lounge

最新ミニアルバムにして通算7作目のフィジカル作品となる『七変化』を携えた「ME-GUMI LIVE TOUR 2024 -七変化-」。2月23日の名古屋ハートランド、3月2日の大阪Zeelaを経て、辿り着いたツアーファイナルの舞台は3月9日の東京・渋谷Star loungeである。このところは『七変化』リリースに先駆けて池袋で開催された最新全曲披露フリーライブやフェス/イベント出演などもあり、め組がフルスロットル状態で臨むステージとなった。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 菅原達也(Vo・G)菅原達也(Vo・G)

ソールドアウトで熱気の充満したフロアに登場SEが響き渡ると、オーディエンスは見事な瞬発力で反応し一斉に手を打ち鳴らす。富山京樹(G)、久佐賀麗(Key)、寺澤俊哉(B)、外山宰(Dr)が喝采に包まれながら位置につき、ボ・ディドリー・モデルの四角いグレッチを手にした菅原達也(Vo・G)が景気の良い挨拶を投げかけて“咲きたい”から本編がスタートだ。のっけから富山と寺澤が身を乗り出して煽り立て、華やかでありながら勢いに満ちため組流ビートポップが咲き乱れる。久佐賀もキーボードを置き去りに前線へと躍り出て、オーディエンスの好反応ぶりに菅原は「素晴らしい渋谷!ありがとう!」と告げていた。まだ1曲も演奏し終えていないのに、である。

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 富山京樹(G)

    富山京樹(G)

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 寺澤俊哉(B)

    寺澤俊哉(B)

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 富山京樹(G)
  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 寺澤俊哉(B)

スネアドラムの音色が小気味よく弾ける外山のマーチングビートに乗せて繰り出される“Amenity”、オリエンタルな鍵盤フレーズと共に駆け抜ける“お化けだぞっておどかして”や“ジュゴンの背中に乗って”と、バンドのキャリアを広く見渡しながら巧みに練り上げられたセットリストがおもしろい。胸の中のモヤモヤもまとめて引っ掻き回す高速回転ストレンジポップを立て続けに披露すると、菅原は遠方(北海道や福岡など)からの来場者にも感謝の思いを伝え、名古屋・大阪公演の盛り上がりにツアーファイナルが負けるわけにはいかない、とエア・バイオリンを奏でる仕草で“ストレージ”に向かう。『七変化』収録曲の中でも、ひときわエモーショナルに響く名曲だ。

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 久佐賀麗(Key)

    久佐賀麗(Key)

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 外山宰(Dr)

    外山宰(Dr)

  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 久佐賀麗(Key)
  • め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 外山宰(Dr)

美麗な旋律と歪んだ轟音が溶け合う“春風5センチメンタル”や“ぼくらの匙加減”といった人気曲を届けた後には、メンバーが新作ツアーにちなんだ「七変化」エピソードを語る一幕も。久佐賀に描いてもらった似顔絵をきっかけに、顔のほくろ除去に踏み切ったとご満悦の寺澤。一方富山は、おずおずと語り出す声色が可愛らしいアニメキャラのように早替わりするパワープレイで笑いを誘うのだった。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。

菅原は、お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也が執筆したエッセイ集『へんなの』を読んで感銘を受け、それをインスピレーション源に楽曲“さたやみ”をしたためた経緯を語る。「国さんの、あの頃の思い出に捧げたいと思います」と言葉を添えて披露された“さたやみ”だが、なんとここで国崎本人がサプライズの飛び入り。この曲のMVに出演したときと同様、映画『マスク』でジム・キャリーが演じたスタンリー・ザ・マスクのような出立ちで踊り回る。もちろん、オーディエンスも笑顔まみれだ。

さらに、じっくりとインタールード的セッションを挟みながら披露する“故愛(ゆえあい)”や“GT50”といったスロウで雄弁な楽曲群の熱演も素晴らしい。音楽の行間から情緒がとめどなく溢れ出す。「バンドを続けるのって良いことばかりではない。でも今日、皆さんの顔を見て、やっていて良かったなって思いました」と語るのは外山。そして久佐賀は、今ツアーで初めてライブ参加してくれた人や、ワールドワイドに活躍するスーパーオーガニズムとの対バンツアー、伊勢丹新宿店とのコラボなど多くの出会いに恵まれた経験を思い返したのち、メンバーに促されて「みんな、ワクワクしようぜーっっ!!」と決め台詞を投げかけるのだった。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。 - 菅原達也(Vo・G)菅原達也(Vo・G)

「渋谷、カンパーイ!」と音頭を交えながらの“(I am)キッチンドリンカーズハイ”から、渋谷Star lounge備え付けのミラーボールが煌めく“Bad Night Dancer”へ、目眩くダンスミュージックの時間が訪れる。そして“お茶の子再々!”では、テクニカルな曲調をものともせず受け止め、掛け合いの歌声を放つオーディエンスが凄い。本編ラストを飾る1曲は“悪魔の証明”だが、ここで大活躍するのは最新ライブグッズのひとつ「悪魔のタンバリン」。それを手にしたオーディエンスが狂気スレスレの熱い曲調をさらに賑わせる中、菅原がフロアに突入。最後には「七変化」にちなむ一斉7回ジャンプで鮮やかにフィニッシュするのだった。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。

オーディエンスによる《合言葉は》《ちゅるりらら》の“悪魔の証明”コール&レスポンスが響き渡って迎えたアンコール。“It's a 大愛万国博覧会”は大切な人々に寄せる思いを込めた大熱演になった。「ちゃんちゃら可笑しい明日にしましょうね!」と繰り出される“500マイルメートル”では、オーディエンスを信頼してがっつりと歌を預ける。さらに、この日2度目となる“咲きたい”では、ランジャタイ国崎が今度はフロア最後方から姿を見せて驚かせてくれる。まるで“咲きたい”ミュージックビデオの1シーンを再現するように、ライブは万感のフィナーレを迎えるのだった。

め組、傑作『七変化』を携えたライブツアーのファイナル公演をレポート!多くの出会いによって育まれたポップミュージックの種。

数多くの組員(め組ファンの呼称)によって熱狂の種子が育まれ、驚くべきポテンシャルを秘めため組作品たちは芽吹き、花開いてゆく。ライブのたびに、ハイライトを担う楽曲が違っている。春の「JAPAN JAM 2024」(め組出演は4月28日)、そして7月20日開催がアナウンスされた次回ワンマン(会場は渋谷のTOKIO TOKYO)と、今後に控えたステージも楽しみだ。(小池宏和)

セットリスト

01. 咲きたい
02. Amenity
03. お化けだぞっておどかして
04. ジュゴンの背中に乗って
05. ストレージ
06. 春風5センチメンタル
07. ぼくらの匙加減
08. さたやみ
09. 故愛(ゆえあい)
10. GT50
11. (I am)キッチンドリンカーズハイ
12. Bad Night Dancer
13. お茶の子再々!
14. 悪魔の証明
(アンコール)
01. It's a 大愛万国博覧会
02. 500マイルメートル
03. 咲きたい

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