現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』5月号に山内総一郎が登場!「自分のことを表現する」ものだったら、たぶん僕、歌は生まれない。
フジファブリックを歌うものだったら歌が作れる、と思ったんです
初ソロ作品『歌者 -utamono-』に込めた歌とバンドと共に生きることへの覚悟とは?
インタビュー=高橋智樹 撮影=鈴木 親
フジファブリック・山内総一郎という生粋のバンドマンが、初のソロアルバム『歌者 -utamono-』をリリースする――と聞いて勝手に抱いた「歌とギターのアルバム」のイメージは、リード曲“白”のミュージックビデオでピアノを弾きながら歌う山内の姿によって一掃された。複数のアレンジャーとともに編み上げた「引き算の美学」の光るサウンド。ミディアム〜スローテンポの楽曲中心の、朗らかで骨太なポップ感――。しかし、このアルバムで何より際立っているのは、緻密な構築美とストレートな訴求力が同居する山内のソングライティングの才気、そしてバンドにすべてを捧げ歩んできたひたむきな生き様そのものだ。
志村正彦と出会ってフジファブリックに導かれた山内自身を綴った“白”をはじめ、楽曲ごとに主人公の人物像と人生、ブルースまで織り込んでみせた『歌者 -utamono-』。それは同時に、“最愛の生業”“大人になっていくのだろう”“歌にならない”といった楽曲の乱反射越しに、バンドマン・山内の魂を浮かび上がらせる、無垢で誠実なポップマジックの結晶でもある。バンドマンだからこそソロアルバムに向かい、「個人」としてバンドへの想いを歌う――という今作の構図を、以下の山内のインタビューからも読み取っていただけることと思う。(高橋智樹)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年5月号より抜粋)