現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』5月号にフレデリックが登場!双子だから個性という言葉に意識がある。ふたりいて、しかも二卵性で、健司には健司の個性があって、僕には僕の個性があるけど、お互いにコンプレックスもあったり。でもバンドを始めてからは、そのコンプレックスを活かそうって(康司)
激動の3年間、そのドキュメント『フレデリズム3』が、
フレデリックを覚醒させた理由
インタビュー=海津亮 撮影=YAMA 山添雄彦
リード曲“ジャンキー”から和田アキ子への提供曲“YONA YONA DANCE”のセルフカバー、この頭2曲の中毒性がヤバい。
フレデリック待望の3rdフルアルバムが完成した。タイトルはもちろん『フレデリズム3』。2019年春に『フレデリズム2』をリリースして以降の3年間で世に出した9曲の既発曲に、完全なる新曲5曲を加えた全14曲という構成になる。
毎回そうなのだが、フレデリックはEPやミニアルバムを制作する際に、明確なテーマ設定を行ったコンセプチュアルな手法を用い、それがいくつか積み重なった段階でその間のタームを決算する中期ベスト盤としてのフルアルバム『フレデリズム~』をリリースする。それ故この『フレデリズム』シリーズは、3年なら3年を駆け抜けたフレデリック4人による、音源による貴重な時代のドキュメンタリーとしての性格を帯びている。
『フレデリズム3』に至るこの3年間は激動だったと思う。精力的にツアーを行い並行して音源制作を行った2019年。明けて自身最大規模の横浜アリーナ公演を開催し、直後からコロナ禍という混迷に陥った2020年。オンラインライブやリモートレコーディングという試行錯誤を経てコロナとアーティスト活動の共生を確立させた2021年。
『フレデリズム3』は、そんな3年間を1枚にコンパイルした彼らの第3タームそのものだ。
昨年末、フレデリックにとっての出世曲“オドループ”がMV累計再生回数1億回を突破した。足掛け7年かけての快挙だ。“オドループ”の存在は、フレデリックにとって輝かしいものである反面、重くもあったと思う。「“オドループ”のフレデリック」という看板を常に背負い、それと向き合いながらライブを行い、新曲を作ってきた。しかし激動の3年間を経てよりタフになった最新型フレデリックは、完全にその呪縛から開放されたようだ。なにより頭2曲のグルーヴは、ダンスチューンとしてより高性能で、“オドループ”のセルフオマージュとしても機能している。なぜフレデリックはこのタイミングでキャリアを更新できたのか。4人がしっかり語ってくれた。(海津亮)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年5月号より抜粋)