昨年からオンライン・サービス「レディオヘッド・パブリック・ライブラリー」を設立し、過去の音源、映像やアート作品を公開しているレディオヘッドだが、パンデミック以降もっとも失われているもののひとつであるライブを体験できる、アーカイブ・ライブの配信をスタートした。これは過去のライブ映像から選りすぐったものを、7週連続でレディオヘッドの公式YouTubeチャンネルで公開するプロジェクトで、日本時間では毎週土曜の午前4時に配信される。
またこれに合わせて、バンドのアートワークでお馴染みのスタンリー・ドンウッドがデザインを手がけたレディオヘッドのクルーTシャツが期間限定で販売され、この収益は#WeMakeEventsで支援されているステージやクルーの団体に寄付される。つまり、現在苦境にあるライブ産業に従事する労働者をサポートするもので、レディオヘッドらしい具体的な社会的アクションと言えるだろう。
本稿を書いている4月中旬の時点では2本のライブ映像が上げられているが、そのどちらも非常に貴重なものだ。
まず1本目は、『イン・レインボウズ』リリース後の2008年1月に、キャパ数百人(!)のクラブ93 Feet Eastでのライブを映したもので、『イン・レインボウズ』をアルバムの曲順で演奏しながらライブでの生の手触りを形にしていくバンドの姿と、オーディエンスとの親密な空気が記録されている。
2本目は対照的に、2017年のコーチェラ・フェスティバルでのヘッドライナーのステージだ。こちらは『ア・ムーン・シェイプト・プール』のツアーのハイライトで、スタジアム・バンドとしての貫録を見せつけている。
どちらの映像も「その瞬間」のレィオヘッドを生々しく捉えており、なるほど音源を聴くだけでは味わえないダイレクトな高揚や美しいカタルシスが封じこめられている。おそらく今後もバンドにとってとくに重要なライブを記録したものが配信されるだろうから、わたしたちは約2ヶ月にわたってレディオヘッドのヒストリーを体感できるというわけだ。そしてまた、バンドの素晴らしいステージを直に観られるときが来ることを心待ちにしたい。(木津毅)
レディオヘッドの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
