2007年のフジロックで初来日を果たし、今年3月にも単独公演を行っているザ・ピジョン・ディテクティヴズ。そのライブからまだ半年しか経っていないのだけど、今回は2ndアルバム『エマージェンシー』のリリースツアーとして、再来日を果たした。去年5月にデビューアルバムをリリースする以前から、既に、UKの要注目新人アーティストと謳われていたバンドなだけに、今夜の観客も年齢層が幅広く(しかも男多め)、日本の洋楽ファンの期待をがっつりと受けている様子が伺われた。
ほぼ19:00ぴったりにスタートしたライブ。2ndのタイトル曲とも言える“ディス・イズ・アン・エマージェンシー”から始まり、2曲目に披露した1stからの“アイ・ファウンド・アウト”の時には、イントロが流れた瞬間、歌も始まらないうちから“ゴーイング・アウト・ウィズ”×2とシンガロングが起こるほど!
この曲に代表されるように、一度聞いたら自然と頭にこびりついて離れないサビとコーラスとギター・フレーズ、そしてキャッチーなメロディ展開をみせる彼らだが、歌詞はというと、男と女の恋愛模様を描いたあまりにも日常的な内容。それも、1stから2ndまで変らない普遍的な彼らの魅力なのだけど、そんな内容の歌を飄々と歌っているボーカルのマットはというと、ステージフロントに置いてあるスピーカーに乗ってジャンプしたり、ドラムに飛び乗って頭上の照明に頭を軽くぶつけながらもハイジャンプしたり、開脚ジャンプしたり、コードをぶんぶん振り回した後マイクを飛ばして見事にキャッチしたり、水を霧状に噴出すだけならまだしも、頭から自分に水をぶっ掛けたり、一時も動きを止めることなく最後まで忙しなく動き回っていた。
そんなマットのハイテンションさのなかで、最初は固かったほかのメンバーの動きも中盤からジワジワと激しくなり、それに呼応するようにフロアの後ろの方までもがバンド自体が放つ熱に浮かされたように湧き立っていった。そして「これで最後だよ」とマットが言って始めた“アイム・ノット・ソーリー”で盛り上がりがピークのまま、この曲でアンコールもラストを迎えた時刻は20:10。観ている側も息つく暇もないほどの疾走感が心地よいライブだったが、まだまだ若いバンド。このまま足を止めることなくどこまでも突っ走っていってほしい。(石井彩子)
1.This Is An Emergency
2.I Found Out
3.You Know I Love You
4.Stop Or Go
5.I\'m Not Gonna Take This
6.Keep on Your Dress
7.Don\'t Know How To Say Goodbye
8.Romantic Type
9.You Better Not Look My Way
10.I Can\'t Control Myself
11.Say It Like You Mean It
12.Caught In Your Trap
13.Making Up Numbers
14.Take Her Back
15.I\'m A Liar
16.You Don\'t Need It
17.I\'m Always Right
アンコール
18.I Need You
19.Wait For Me
20.I\'m Not Sorry
ザ・ピジョン・ディテクティヴズ @ 渋谷クラブクアトロ
2008.09.25