ONE OK ROCK @ Zepp Tokyo

ONE OK ROCK @ Zepp Tokyo
ONE OK ROCK @ Zepp Tokyo
10月発売の新作AL『残響リファレンス』のリリースツアーにして、ONE OK ROCK史上最大規模の全国ツアー「“残響リファレンス”TOUR」の序盤戦、Zepp Tokyo2デイズの2日目。昨年11月の「聖地」日本武道館での公演からおよそ1年。日本で活動するロック・バンドにとってのひとつの到達点を経験してもなお、「バンドは生き物」という言葉をまさしく体現するかのように、更なる進化に向けて攻めの姿勢を崩さず、真っ当な方法論で着々とスケールを拡大し続けるONE OK ROCKの「今」がはっきりと刻み付けられた、素晴らしいライヴだった。

開演予定時刻を5分ほど回った19時05分、場内が暗転。大歓声に沸くソールドアウトのZepp Tokyoのステージに、続々とメンバーが登場。そして最後に現れたTaka(Vo)が両手を大きく広げ、ドラマティックにスタートしたライヴ序盤。低音も高音も、どこを切っても一分の隙もないTakaの破格のヴォーカリゼーションがのっけから全開となり、会場を瞬く間に掌握していく様は圧巻だった。パワーコード主体の怒濤の攻勢でオーディエンスの快楽指数を無尽蔵に高めていくToru(G)、要所要所で一撃必殺のスラップ・ショットをド派手にぶっ放すRyota(B)、ツーバスになってますます破壊力を増した重厚なビートを豪快に叩き出すTomoya(Dr)と、各メンバーのコンディションも絶好調のようで、もはや凄みすら感じられる彼らの轟音アンサンブルを全身で享受するオーディエンスのテンションは、立ち上がりから爆発的な勢いで上昇軌道を描いていくのであった。

現在絶賛ツアー中のため、ネタバレ防止で詳しい曲名/曲順は明かすことができないのだが、この日彼らはアンコールを含めて全20曲を披露。かねてからのキラー・チューンである“完全感覚Dreamer”や“Liar”投下時のフロアの熱狂ぶりも尋常ではなかったが、やはりこの日のライヴのキー・ポイントとなっていたのは、なんといっても『残響リファレンス』からの楽曲群。焦燥、反骨、怒り、悲しみ、絶望、希望、感謝——バンドが内包するエモーションの全てをラウドにぶちまけたのが前作『Nicheシンドローム』だったならば、文字通り前作でかき鳴らした轟音の残響を真摯にリファレンス(参考/参照)していくことによって生まれたのがこの『残響リファレンス』である。たとえば、従来の流れを汲んだフロア対応型のアップ・ナンバーも、前作でグッと拡大したポピュラリティを受け、「誰に、どう」届けるのかが更にクリアになっているし、“C.h.a.o.s.m.y.t.h.”のようなアリーナやスタジアムなどの大舞台でも抜群に映えそうな壮大な新機軸ナンバーには、11000人を前にライヴを行った武道館の経験がしっかりフィードバックされているのを感じることができる。聴けば聴くほど、彼らがバンドとしての正統進化と新境地開拓を同時に成し遂げてしまったということがはっきり伝わってくる、本当に凄まじい楽曲達だ。そして、そんな彼らの着実なスケールアップは、ライヴの動員にも直に結びついているようで、「今日ONE OK ROCK初めての人ー?」というTakaの質問に、フロアの手がざっと見て半分ないしは3分の1くらい挙がっていたのも印象的だった。

「これぞワンオク!」とも言うべきラウドでアッパーな展開に、oi!コール、ハンドクラップ、モッシュ、ダイブ、シンガロングと、ありとあらゆるバンドへの祝福がフロアに巻き起こったライヴ序盤から、Takaがギターをとって「聴かせる」楽曲を届けた中盤、そして狂喜乱舞必至のキラー・チューンで固められた壮絶なクライマックスまで、彼らが終始伝えようとしていたのは、「全力で生きろ」というシンプルで力強いメッセージであった。それは紛れもなく、彼らをロックに向かわせる原動力であり、ONE OK ROCKがONE OK ROCKであり続けるための存在意義である。ライヴ中、幾度となく「もっと来いよ!」とアジテーションを繰り返し、クラウド・サーフでステージ前方まで辿り着いたオーディエンスとハイタッチを交わしていくTakaの姿は、「1対1」の関係で聴く人に向き合い、心をこじ開け、生きていくうえでの様々な困難はねのけるためのエネルギーを注ぎ込んでくれる、ONE OK ROCKの音楽の核心を饒舌に物語っているかのようだった。

既にアナウンスされているように、1月21日(土)、22日(日)に行われる本ツアーのファイナルは、バンド初の横浜アリーナ2デイズ公演。過去の経験を貪欲な姿勢で現在に刻み付け、未来に向かって進化し続ける「恐るべき生物」ONE OK ROCKの新たな「到達点」であり重要な「通過点」を、絶対に見逃さないでほしい。(前島耕)
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