それにしても、竹内電気のライブは面白い。どう見てもデス声ハードコア・ギタリストにしか見えない長髪&短パンの斉藤(G・Vo)が実はリフ型の技巧派ギタリスト&竹電一のスウィートな歌声の持ち主だったり、いちばん自信なさげにMCしてる男が実はリーダー=竹内サティフォ(G)その人で、いざ曲になると、いったいいつの時代のギター・ヒーローか?と思うくらいにでかい音でギター・ソロをとってみせたり……と、1人1人のミュージシャンとしてのキャラだけでも何かが間違っていて十分に面白い。
が、たとえば“speed king”では竹内&斉藤がツイン・ギターを決めた次の瞬間には斉藤&加藤(B)&苅谷(Dr)が火の玉リズム隊としてハード・ドライブィンなグルーヴを演出したり、“milk tea”では2人のギター・フレーズの掛け合いの直後に竹内のギターと山下のシンセが絡んで絶妙のハモリを聴かせたり……と、あたかもフォワードとディフェンダーがくるくる入れ替わりながらパスを回し、最終的には全員攻撃に移って点を獲りにいくサッカーのようなスリルが、彼らのアンサンブルにはある。しかも、そうやって超テクニカルに演奏している音楽はといえば、80年代ポップス風のメロウでカラフルな歌メロにフュージョンやハード・ロックや産業ロック(!)や、時にはサンバやボサノヴァ的要素まで掛け合わせた、胸のすくほどの爽快な間違えっぷりである。が、その、音楽のスタイルとして「間違っている」こと自体が、彼ら5人のロックを極限までポップでエキサイティングなものにしているし、それは竹内電気というバンドの「面白さ」と「正しさ」にもつながっている。
「自分で言うのもなんだけど、僕がただのデブじゃないってことがわかったと思います!」とMCで語る斉藤はもはや完全に竹電のデ……もといポッチャリ・マスコット化していて、「僕、髪切ったんですよ。前は腰ぐらいまであって、髪ほどいて寝れなかったんですけど、今は快適です」というお気楽MCでも、ツアー・グッズの眼鏡クロスの宣伝のために眼鏡を外しただけでも、満場の笑いをかっさらっていく。
斉藤「僕、痩せようと思って。やっぱね、おしゃれっていいなと思ったんですよ」
観客「イメチェン?」
斉藤「いや、イメチェンじゃなくて、この感じをキープしたままで」
ってな会話でいいようにフロアが沸くくらい、クアトロは笑気ガス並みの高揚感に満ちている。山下が眼鏡を飛ばすほどのアグレッシブなプレイを見せたり、“thrill”ではカシオペアも真っ青?ってくらいの熱血フュージョンっぷりを見せたりしつつ、後半戦は怒濤のクライマックスを迎えていく。
「8月19日に、シングルが出ます! イェイ!」という山下の謎の振り付きのメッセージに導かれて響き渡ったのは、新曲“YOU&I”。洋楽っぽいお洒落で切ないメロディとシンセとオーバードライブ・サウンドとビートが一体になって押し寄せてくる、竹電アンセム仲間入り必至の名曲! 会場を見回した限り、オーディエンスの大半は女子ファンのようだったが、これだけ楽器魂/ミュージシャン魂の炸裂しまくったバンドは、「男子も観たほうがいい」を通り越して、男子ロック・ファンこそ観ておくべきバンドだと思う。そんな血湧き肉躍る面白さが、今の竹電にはある。(高橋智樹)