ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー @ 赤坂BLITZ

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昨年デビュー・アルバム『ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー』と初のライヴ盤となる『ライヴ・ソス』をリリースした、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(以下5SOS)の初来日公演である。27日から始まるワン・ダイレクションのさいたまスーパーアリーナ公演でオープニング・アクトも務める5SOSは、まさに「バンド版1D」とでも呼ぶべきアイドル人気と、グリーン・デイやフォール・アウト・ボーイの系譜を受け継いだパンク・サウンドをよりキャッチーに鳴らす、最新ポップ・パンク・バンドとしての人気を両立させている4人組だ。ちなみに全公演ソールドアウトで最終追加公演が発表された1Dだが、5SOSのこの単独公演ももちろんソールドアウト。会場を埋め尽くしたのは10代~20代前半の女子が大半で、ほぼオンタイムでステージに登場した4人に予想を遥かに超えた黄色い悲鳴が巻き起こる。ここまで「黄色い悲鳴」としか形容しようのない歓声が上がったロック・バンドのライヴを久々に観た気がする。

オープニングの“End Up Here”から全開で鳴り響くパワー・ギターと恐ろしくキャッチーな歌メロに場内は早くも大合唱だし、2曲目のアンセム“Out Of My Limit”では大合唱はもちろんのこと、歌の途切れた間奏やブレイクでは演奏をかき消す勢いで再びの黄色い悲鳴で埋め尽くされる。彼らの『ライヴ・ソス』を聴いた時に海外のファンの大熱狂ぶりに驚かされたのだが、この日のライヴを体験して日本の5SOSファンも負けていないことが分かった。とにかく普段筆者がよく観に行くロック・バンドのライヴとはまったく異なる少女たちのダイレクトな熱狂と悲鳴に包まれた会場に、なんだか無性に感動してしまったのだ。

5SOSはルーク(Vo&G)を中心にマイケル(G&Vo)、カラム(B&Vo)が全員歌えるフォーメーションで、曲によってメイン・ヴォーカルが異なったり、リレー形式で歌を繋いでいったり、3人のユニゾンやコーラスで聞かせたりするその様は、1Dのフォーメーションを彷彿とさせもする。ステージには2台のお立ち台(?)がシンメトリーに置かれていて、そこに上ったり座ったりしながらフロントの3人が立ち位置を入れ替えながら歌っていく。「調子はどうだトキオー!」とルークが叫びメンバー自己紹介へ、そして「汗、やばいね」なんて互いに言い合いながら“Voodoo Doll”へ。ルークとマイケルが互いのギターを弾き合う絡みにはこれまた最大ヴォリュームの悲鳴が巻き起こる。

ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー @ 赤坂BLITZ
「アリガトゴザイマース!」とカラム、ここで何か覚えている日本語はないか?という話になり、マイケルがなぜか「ハンバーガーヲタベマス!」と叫ぶ。ちなみにマイケルはMCにおける日本語担当(?)で、「ニホン、デンスキ(大好き)!!」とも叫んでいた。そんなこんなで場内がさらに和んだところで、セットはノンストップのポップ・パンク・アンセム連打から徐々にメロウな展開へと移り変わっていく。マイケルがアコギに持ち替えての“Amnesia”はまさにシンガロング・アンセムで、ファンも彼らからのリクエストに応えて完璧に歌いきる。彼らのライヴを観てつくづく感じるのは、5SOSがポップ・パンクのポップと、マルーン5にも通じる歌物ポップスのポップ、そしてアイドルとしての存在自体のポップネス、その3つを絶妙に兼ね備えたグループだということだ。

「次の曲はめっちゃ速いから、みんなも合わせてジャンプしてね」とカラムが言って始まったのがグリーン・デイのカヴァー“American Idiot”だ。たしかに原曲の1.2倍速といった感じの高速アレンジなのだが、フロアを見渡すとほとんどのファンが大歓声を上げるもののジャンプはしていない。なにしろステージ前方にいる大半のファンがスマホで終止ショウを撮影しているので、手ブレしてしまうようなジャンプはできないのだ。ここまでスマホ撮影するファンが一般的なライヴも初めて観たが、これも5SOSのファンが圧倒的に若いSNS世代ということなのだろう。

「5SOS! 5SOS!」のアンコールに迎えられ、4人が再びステージに戻ってくる。まるで再びオープニングかのような“Good Girls”のフレッシュなパフォーマンスだ。「たぶん今日はおれの過去最高にお気に入りのショウになるね。それに日本は最高にお気に入りの国さ」とマイケル、その後は「みんなの持ってきたカンペを見せて!」(そう、多くのファンがメッセージを書いたボードを持ってきてるんです)という呼びかけ、頭上に掲げられたカンペを4人が片っ端から読み上げていくファン・サービス・コーナーへ。そしてラストは鉄板のアンセム“What I Like About You”だ。新体験のようでどこか懐かしくもある、「洋楽アイドル・バンド」の日本でのファースト・ステップを久々に体験できた一夜だった。(粉川しの)

1. End Up Here
2. Out Of My Limit
3. Heartbreak Girl
4. Voodoo Doll
5. Don’t Stop
6. Disconnected
7. Long Way Home
8. Heartache On The Big Screen
9. Amnesia
10. Beside You
11. Everything I Didn’t Say
12. American Idiot
13. Kiss Me Kiss Me
14 . She Looks So Perfect

En1. Good Girls
En2. What I Like About You
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