【インタビュー】chilldspotは、まだまだ行く。新たに芽生えた野心と創造性が花開く珠玉の2曲“Ladyy”と“ドラマ”に刻んだバンドの今と未来

【インタビュー】chilldspotは、まだまだ行く。新たに芽生えた野心と創造性が花開く珠玉の2曲“Ladyy”と“ドラマ”に刻んだバンドの今と未来

今こそchilldspotに出会うべきだ。この最高のライブをして、最高の楽曲を作るバンドに。汗をかいて、手足を動かして、夢を見て、そうやって現実を徹底的に生き抜くバンドに今こそ出会うべきだ。先月本サイトで書かせてもらったライブレポートで伝えたように、今のchilldspotのライブはとんでもなくすごいことになっているのだが、6月に配信リリースされた“Ladyy”、さらに先日配信リリースされた“ドラマ”、これらの新曲たちもかなりいい。EP『echowaves』からアルバム『handmade』へと至る流れで培った、メンバー全員が作詞作曲を担うことのできる自由な制作体制とセルフディレクション力、それらが完全に功を奏している。地に足をつけたうえで、踏ん張った地面から無限の創造力の翼を広げる、そんな今のchilldspotの説得力と洗練がこの2曲には見事に花開いている。今回の新曲2曲の制作は、かなりの部分でギタリスト玲山が果たした役割が大きいようだ。その派手な見た目とは裏腹に、繊細なギターワークでchilldspotの楽曲に鮮やかさと艶やかさを加えていく彼らしい、品のある華やかさを持った楽曲たちだ。

“ドラマ”は、小池栄子が主演を務めるドラマ『さよならノワール』の主題歌として、“Ladyy”は、恋愛リアリティー番組『Girl or Lady Season3』の挿入歌として、それぞれ書き下ろされた楽曲たち。きっと、これらの楽曲はchilldspotにたくさんの新たな出会いを連れてくるだろう。今こそchilldspotに出会うべきだ。僕がそう感じるように、きっとあなただって、彼らに「希望」と呼び得るものを感じ取るだろう。

インタビュー=天野史彬 撮影=エドソウタ


ライブを重ねるごとに小﨑のラップの声がでかくなってる(笑)。いいよね。小﨑のでかい声が聴こえてくると、こっちもアガるし(比喩根)

──先日、Klang Rulerと対バンした「JAM vol.3」の渋谷CLUB QUATTORO公演を観させてもらいましたが、とんでもなくいいライブでしたね。今、ライブの手応えはやはり上がってきていますか?

比喩根(Vo・G) どうなんだろう。客観的にもらう意見は、いい意見がどんどん増えているんですよ。自分たちでも「今日よかったね」とか、「調子よかった悪かった」みたいなことを言い合えるようになってきたけど、個人的には、手応えはあまり変わらないんですよね。でも、ライブを観た人たちからは「chilldspot、また進化したね」と言ってもらえることが増えたので、不思議なんですよね。

玲山(G) 堂々とした感じは出てきているんじゃない? 「今日、盛り上がるかなあ? 不安だなあ」みたいな感じは、もうないよね。

比喩根 そうだね。やるしかないから。

玲山 やることが明確になってきてるんだと思う。

比喩根 じゃあ玲山は、手応えある?

玲山 手応えはそこまで変わってないけど、また違う部分で、気持ちは段々と定まってきている感じがする。

──そうか。ライブ後の手応えというよりは、ライブをやっている最中や、ライブをやる前の心持ちが変わったんですね。

比喩根 確かに、変に緊張することはなくなったかもね。

玲山 うん、最近は「いつも通りやろう」って感じでできていると思う。前は、変な気負いもあったじゃん。

比喩根 変に気合入れすぎたり、変に緊張していたりすると空回ることもあるもんね。そういう意味では、玲山くんが言うように「堂々とできている」というのが大きいのかもしれないです。

──小﨑さんはどう思いますか?

小﨑(B) 僕の場合は、この間の対バンもそうだったんですけど、かなりエンジョイしてやっているというか。緊張もしないし、ただひたすら「楽しむぞ!」って気持ちで遊んでいる感覚のほうが強いです(笑)。昔に比べて変に考えすぎないし、緊張もさほどしないし、でも楽しさは増えている。いいフィーリングでやれていますね。

──それで、あんなにベースの音がでっかくなるんですね(笑)。

比喩根 ははは!(笑)ライブレポートにも書いてくれてましたよね。

──あのベースの音は本当にびっくりしたので(笑)。

小﨑 いやあ(笑)。

玲山 チルズは「ベースの音がでかい」って言われがちだよな。

比喩根 中音なんてかなりヤバいですよ。うちら、イヤモニじゃなくてフット(モニター)だから。

玲山 (小﨑の)ラップの声もでかくなったよね。

比喩根 そうそう。ライブを重ねるごとに小﨑のラップの声がでかくなってる(笑)。いいよね。小﨑のでかい声が聴こえてくると、こっちもアガるし。

──僕が観た渋谷クアトロのライブで、アンコールで“Girl in the mirror”を歌っているときの比喩根さんが、めちゃくちゃかっこよかったです。すごかった。

比喩根 そんなかっこよかったっけ(笑)。自分じゃ見られないから。

玲山 どんな感じだったんですか?

──あの曲の歌詞のメッセージそのものを、比喩根さんがステージ上で体現している感じがしたんですよね。

比喩根 それは……ありがたいですね。でも意外と小﨑くんと一緒で、そういうときほど考えすぎていないんだと思います。最近は、そういうふうにできるようになりたいんですよね。考えすぎるんじゃなくて、ゾーンみたいなのに入って、肩ひじ張らずに表現できるようになりたい。あの日の“Girl in the mirror”は本編も終わっていたから、より素直に曲を伝えられていたのかもしれないですね。

【インタビュー】chilldspotは、まだまだ行く。新たに芽生えた野心と創造性が花開く珠玉の2曲“Ladyy”と“ドラマ”に刻んだバンドの今と未来

「かっけー!」と思うのって、その人たちの野心とか、「こういうのやりてえんだよ!」って気持ちが溢れているものばかりだと思うから。バンドでもなんでも、野心は大事だなって思います(比喩根)

──6月に“Ladyy”、7月に“ドラマ”と、2ヶ月連続で配信シングルをリリースされましたけど、この2曲にも今のchilldspotのいいムードはすごく感じられるなと思いました。まず“Ladyy”ですが、この曲は恋愛リアリティーショー『Girl or Lady Season3』の挿入歌として書き下ろされた楽曲ですけど、すごく研ぎ澄まされていますよね。大袈裟な展開があるわけではなく、一見シンプルだし淡々とはしているんだけど、そこにこの曲の豊かさと魅力があるように感じました。この曲の制作は、玲山さんスタートなんですよね?

玲山 そうですね。ただ、そうは言っても僕が作ったもので実際使ったのはAメロまでの部分で、そこから先は比喩根と一緒に作っていったんです。

比喩根 番組サイドの方と打ち合わせをしたときに“ネオンを消して”がリファレンスで出ていて、しかも、今回のタイアップには「30代女性に寄り添う曲」というテーマがあったんですけど、私たちはまだ30代になっていないし、「どうしようかな……」という感じで。想像しながら結構、試行錯誤したよね?

玲山 そうだね。自分の中で30代の女性像を想像してっていう感じだったけど、比喩根が書いたサビの歌詞は普遍的なこと書いていて。


比喩根 最近のchilldspotは、「覚えてもらいやすさ」とか「ポップさ」をすごく意識するようになっていて。ジャンルの「ポップ」じゃなくて、ポピュラー音楽の「ポップ」ってなんだろう? みたいなことを最近よく話すんです。それもあって、サビの部分は具体的なことを伝えようとするより、韻や音に乗せて、「雰囲気で何を伝えられるか?」を大事にしました。

──「ジャンルとしてのポップ」ではなく「ポピュラー音楽のポップ」というのは、音楽の形式の話ではなく「多くの人に届く音楽ってどういうものなのか?」を考えている、ということですよね。そこに意識が向いているのは、何故なんですか?

比喩根 一昨年から去年にかけて、セルフディレクションで自分たちの好きなように曲を作りながらEPとアルバムを出して、その結果を見たうえで、当たり前ですけどこれからもchilldspotを続けていきたいし、せっかくやるなら、大きいところでやりたいし。「音楽をやるならこうなりたいでしょ!」みたいな思いが、それぞれに今ちゃんとあるんですよね。去年一昨年と好きなことをやったうえで、「いい曲はできたけど、なんでセールスやバイラルは届かなかったんだろう?」というのはあったし、「せっかく好きな曲を作るからには、ちゃんといろんな人に届けたい」という思いは、バンドを5、6年やってきて強くなってきているので。「chilldspotの中にどんなエッセンスを取り入れたら、もっといろんな人に聴いてもらえるんだろう?」ということは、最近すごく考えるんです。

玲山 「覚えられて歌われる曲を作りたい」って思うからね。いろんな人に聴いてもらうための意識ですね、そこは。

小﨑 ずっと「chilldspotの曲って、カラオケで歌いづらくね?」と言われがちだったんですよね。もっと覚えやすくて、みんなが歌えるように考えられたメロディを意識していくのもありかなって。

比喩根 私は今まで、自分の歌が難しいって知らなかったんですよ。その難しさはひとつの特徴としていいことではあるけど、そういう曲はもういっぱい出してきたし、小﨑くんも玲山くんも私とは違うタイプのメロディを作れるんだから、次はみんなの力を集結して、もっとたくさんの人に聴いてもらえる曲を作ることに向き合ってもいいんじゃないかって。たとえばMrs. GREEN APPLEさんとかOfficial髭男dismさんもそうですけど、難しいけど覚えやすいし、歌いたくなるじゃないですか。ああいう「売れていて、いい音楽」に、どうやったらchilldspotの良さを残したままで近づけるかっていうのは、“Ladyy”も“ドラマ”も少なからず意識しましたね。

【インタビュー】chilldspotは、まだまだ行く。新たに芽生えた野心と創造性が花開く珠玉の2曲“Ladyy”と“ドラマ”に刻んだバンドの今と未来

──バンドとして、野心があるのが最高だなと思います。

比喩根 もう、剥き出しで頑張ろうって感じですね(笑)。

──バンドをやっていくうえで、目指すものに辿り着こうとする野心は大事だと思いますか?

比喩根 めっちゃ大事だと思います。新しく何かに挑むって大変じゃないですか。言ってしまえば、chilldspotはポニーキャニオンに所属していて、ワンマンをやれば何百人何千人の方が来てくれる。そんな中で新しいことをやろうとするって結構大変だし、面倒くさいんですよ。自分はまだまだそこに甘えている部分があるなとは思うけど、でも、それを超えてくる情熱が、いい音楽には全部あるような気がするんですよね。それはどんな規模のアーティストにも限らず。「かっけー!」と思うのって、その人たちの野心とか、「こういうのやりてえんだよ!」って気持ちが溢れているものばかりだと思うから。バンドをやるのでもなんでも、野心は大事だなって思います。野心は大事だよなあ?

玲山 野心は大事。chilldspotは野心を応援するバンドです。

次のページ小﨑くんはセンスが抜群によくて、玲山くんはトータルのバランス感がいい。chilldspotの中でずっとバランスをキープしている人(比喩根)
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