──楽曲について詳しく伺いたいんですが、まずリード曲の“ニヒリズムプリズム”は、久下さんらしいピアノロックチューンでめちゃくちゃいい曲でした。(“Silence”を提供した)m-floさんについて長野さんから熱弁を受けまして。m-floさんに恋愛ソングはもう鬼に金棒だと(大倉)
大倉 (天を見ながら)ありがとう、パパ!
──(笑)『蒼穹』の「なんという虚無!」という一節が曲の軸になっていますが、「虚無」をポップに歌うってとても難しいことだと思うんです。でも、ゲンジブは「ニヒリズム」や「シニシズム」(“無限シニシズム”)みたいな概念をポップに昇華してきたグループでもありますよね。
長野 そうですね。だから、“ニヒリズムプリズム”はいちばん歌いやすかったです。グループとして伝えたいことがすべて詰まっているというか──「原因は自分にある。」というグループ名とともに「ネガティブをどうポジティブに変えていくか」が、ここ数年の僕らのテーマだったので。この曲でも虚無感をテーマにしながら、Dメロからは『蒼穹』にも出てくる雲が切り開かれていって──それがまさにゲンジブだなと思います。虚無感をどうポジティブに昇華するかに焦点を置きながら、それをリスナーに押しつけすぎず、「明るくいこうよ」では終わらない。サウンド感はポップに終わりますけど、「君はどう生きていくのかい?」みたいな問いかけで曲が終わるところにゲンジブイズムを感じて。僕らの活動としても2025年を経てポジティブな展望が見えてきたので、そのタイミングでのこの曲はすごく意味を持っていると思いました。
──その雲が切り開かれていく情景が、厚みのあるコーラスによって表現されています。
武藤 サビとDメロあたりのハモリを僕が歌ったんですけど、「壮大さをイメージしてほしい」と言われましたね。“ニヒリズムプリズム”は、曲の構成も歌詞も“因果応報アンチノミー”に似てるというか反対みたいな感じで──サビの《おかえりエンジョイ》(“因果応報アンチノミー”)と《アイムソーリー バイバイ》(“ニヒリズムプリズム”)みたいな。コーラスも“~アンチノミー”と似てるところがあったり、「ああ、これが久下さんの曲だ」と思いました。
──似ている部分が多いその2曲で「ここは違う」というポイントは?
武藤 “ニヒリズムプリズム”は『蒼穹』にインスパイアを受けた歌詞なので、ほろ苦い気持ちになるかなとは思いますね。“~アンチノミー”は結構……スマイル多めというか(笑)。
長野 注文みたい。
大倉 マックか!
小泉 マックでも言わないよ(笑)。
武藤 (笑)“ニヒリズムプリズム”のほうが淡く切ない感じがするんですよね。僕的にはデビュー曲の“原因は自分にある。”から2曲目の“嗜好に関する世論調査”の時のような変化を、“因果応報アンチノミー”から“ニヒリズムプリズム”の流れに感じました。
桜木 最後のサビがパッて開く前のセリフだったので、明るいほうがいいのか暗いほうがいいのかすごく考えたんですよね。でも、明るく言うよりは、(淡々と)「急に、晴れたね」と言うほうが深みがあると思ったので、今の路線でいきました。
──歌で断定せずに解釈の余白を作ったんですね。
桜木 それを心がけてましたね。
──m-floの☆Taku Takahashiさんが提供された“Silence”は遠藤周作の『沈黙』にインスパイアされながら、トラックはアーバンな仕上がりで、ゲンジブにとって新しいアプローチの曲だなと。この曲は歌ってみてどうでした?
大倉 キーがマジ高かったです。音源を聴いて出るかなあって、お風呂で「あ~、あ~」ってやってました(笑)。あと、m-floさんについて長野さんから熱弁を受けまして。m-floさんに恋愛ソングはもう鬼に金棒だと。サトシにピカチュウだと。
長野 そうは言ってない(笑)。
大倉 で、☆Takuさんから、(m-floの)VERBALさんだったらこういうフロウの乗せ方をする、っていうのを教えていただきまして、僕と要人はそれを読んで練習してラップしました。凌大がそれをすごく羨ましがってて(笑)。
長野 ラップしたかったなあ(笑)。
大倉 彼のぶんまでラップを頑張りましたね(笑)。
吉澤 たとえば《ワイヤレス》の発音を「ワイユアレス」って言うとVERBALさんっぽいラップになる、みたいに、細かく分解して教えていただいて。それを実践してやったら、凌大が「VERBALさんっぽい」って言ってくれました。
大倉 「♪断線したままワイヤレス~」の入りがVERBALさんっぽい、って。
長野 いやあ、VERBALさんっぽさを感じましたね。金髪とサングラスが見えました(笑)。
──最後に聞きたいんですが、昨年12月開催のツアー「GNJB FC Limited Tour Laboratory -」でついに生バンドを背負ってライブをされていて。前回インタビューさせていただいた“パラノイドランデブー”は川谷絵音さんが楽曲制作をされていたり、ゲンジブにはバンドで映える曲がたくさんあると思うんですが、生バンドで歌ってみて感じたことはありますか?僕の中で、音源が2Dだとしたら、生バンドの音は3Dなんです。バンドの演奏によって抑揚がつくことに面白みを感じるし、それに合わせて歌うとさらに魅力が生まれて(桜木)
武藤 音源をまた聴きたくなりましたね。生バンドで演奏されたことで、「あ、こういう音があったんだ」って鮮明にわかって、ゲンジブの曲がより好きになりました。
──新しく気づいたポイントはありました?
武藤 ギターかっこいいなあ、弾けたらかっこいいなあって(笑)。
長野 あ、ギターが弾けたらかっこいいってことに気づいた?
武藤 うん(笑)。
大倉 (笑)あと、バンドだと粒立った音が聴こえるから、ドラムの音に合わせてダンスの振りをはめていくのがめっちゃ気持ちよかったよね。
桜木 僕の中で、音源が2Dだとしたら、生バンドの音は3Dなんです。バンドの演奏によって抑揚がつくことに面白みを感じるし、それに合わせて歌うとさらに魅力が生まれて。ライブとはこうあるべきだなってより感じられて、バンドはゲンジブのライブになくてはならないものになったと思いますね。
大倉 ライブだと生バンドで聴けるというのが、またひとつライブの価値になるよね。
小泉 ね。逆に音源で聴きたいというパターンもあるだろうし、ライブのバリエーションが増えました。
大倉 武器が増えたよね。去年は歌唱力の向上を各々の目標にしてたんですけど、バンドを入れるとなるとバンドに負けない声量が必要になるし、バンドになったことで僕らの歌唱力が浮き彫りになる、というのもありました。
──その「歌と向き合う」ということのひとつが、ひとりで1曲を歌うソロコーナーだったのかなと。ソロコーナーはいかがでしたか?
長野 めっちゃ緊張しました(笑)。一人ひとりがマイクに対してもっと──「俺が全部を歌うんだ」という責任感を持ってほしくてソロコーナーを作ったんですけど、やっぱまだまだだなって思うこともあって。でも、やったからこそそれぞれ自信もつけられたというか。1曲をひとりで立って歌ったという実績が、自分たちの血となり肉となった、そんな実感がすごくありました。
──今日は杢代和人さんがスケジュールの都合でいらっしゃらないですが、ソロコーナーや今回のEPの中での杢代さんの歌唱はいかがでしたか?
大倉 ソロコーナー、杢代は本番がいちばんよかったね。
長野 確かに。
大倉 杢代の声の良さが際立ってたし、本番という緊張もある中で高クオリティなものを出してたなって、僕は裏で早着替えをしながら思いました(笑)。
武藤 今回のEPでいうと、和人が歌う“疾走”の2Bの《どしよもこしよもない 今トライ》で、曲の中で異世界に連れて行かれるというか、ガラッと雰囲気変わる感じがしたんですけど、それは和人の声でしかできないなと思いましたね。
長野 2026年に入ってから、彼の歌の成長を感じる機会がめっちゃ多いんですよね。春ツアー(「LIVE TOUR 2026 輪廻の箱庭」)のリハで、歌がめっちゃ上手くなっててびっくりして。今回のEPでも表現力がグッと上がって、歌に表情が出てて、すごくいい感じだなって。和人がどう思ってるかわかんないですけど(笑)、僕らはそういう印象を抱いています。
──そのツアーが3月17日から始まりますが、ネタバレにならない範囲でどういったツアーになりそうですか?
大倉 今回のEPを引っさげてのツアーになるので、季節を感じ、そして輪廻を感じていただけたら嬉しいなと思いますね。
吉澤 「輪廻の箱庭」というタイトルが、最上級のライブの伏線になってると思うので──きっと観たらわかります。
大倉 間違いないね。
ヘア&メイク=SUGA NAKATA(GLEAM)
衣装=Mikage Shin(MIKAGE SHIN)
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