【インタビュー】FAKE TYPE. 独自のエレクトロスウィングは無限に増殖し、世界に拡散する。ニューアルバム『FAKE SWING 2』インタビュー!

【インタビュー】FAKE TYPE. 独自のエレクトロスウィングは無限に増殖し、世界に拡散する。ニューアルバム『FAKE SWING 2』インタビュー!

着実にエレクトロスウィングを取り入れて、進化させている。そういう自負はありますね。(DYES IWASAKI)

――コンスタントにリリースが続いていて、早くもメジャー2作目のアルバム『FAKE SWING 2』が発表されるんですけど、楽曲制作は継続的に行われていたんですか。

DYES IWASAKI「そうですね。僕のほうでは常にトラックを作り続けていて、いつでもストックがある状態になっています。それを適材適所で出すという形で」

トップハムハット狂「そろそろやりたいな、というタイミングでDYESと話して、ストックの中からいくつかピックアップしてもらって、歌詞を書いていく。そういうペースでFAKE TYPE.の曲はできあがっていきます」

――前作のとき、DYESさんが「エレクトロスウィングをモノにした」という覚醒のタイミングだったことを話していたんですけど、そのハイな状態が続いているんですね。

DYES IWASAKI「着実にエレクトロスウィングを取り入れて、進化させている。そういう自負はありますね。前作『FAKE SWING』を作った時点で、僕の中ではFAKE TYPE.のエレクトロスウィングとそれ以外の音楽を分けよう、というコンセプトになっていたので、このまま『FAKE SWING』シリーズを作り続けられたらいいなと思います。今はもう、エレクトロスウィングを無限に作れる(笑)。まだまだやり足りないくらいだと思っているので」

――アルバム以外の楽曲でも、直近では缶缶さんとのコラボ曲“不夜城”や、『アメージング ボンバーマン』に提供した“CRAZY ARTS”などもあって。とにかく楽曲を作り続けている中での『FAKE SWING 2』ということになりますね。あと、7月にはアメリカに渡ってLAでの「Anime Expo 2023」への出演やライブが行われました。

トップハムハット狂「FAKE TYPE.として海外に行くのは、今回が初めてだったんですね。どうなるのかな、という不安は少なからずあったんですけど、ライブの幕が開いた瞬間にオーディエンスの皆さんがワーッ!!と歓声を上げてくれて。すごく受け入れてくれている感じだったんですよ。その瞬間から、あとはいつも通り楽しむだけだな、という気持ちになれたので、本当に楽しい時間を過ごせました」

――YouTubeでもその模様がダイジェストで公開されていましたけど、あの熱狂のベースにあるのはFAKE TYPE.のMVの力だと思ったんですよね。MVを楽しんでいた人たちが、ライブに駆けつけて爆発的に盛り上がったっていう。

トップハムハット狂「そうなんですよね。それまでは、動画コメントやSNSの文字でしかファンの存在を認識できなかったから、うわ、FAKE TYPE.の海外ファンは実在した!って思いましたね」

DYES IWASAKI「日本のライブでも、海外の方をちらほらと見かけることはあったんですけど、ほぼほぼアメリカ人で埋まるというのは、嬉しかったです」

――『FAKE SWING 2』の完全生産限定盤と初回限定盤には、そのLAの様子が収められた映像ディスクが同梱されるんですね。

トップハムハット狂「そうですね。たぶんLAのライブが全編収録された内容になっていると思います」

――コロナ禍で一度海外ライブの予定が流れてしまったという経験もあるし、LAライブでは盟友と言ってもいいDEMONDICE(カレン/FAKE TYPE.のMVではイラストやアニメーションも手掛けてきた)さんや、TeddyLoidさんとの共演もあって。これまでの物語が繋がって感慨深かったんじゃないですか。

トップハムハット狂「はい。もともとFAKE TYPE.のリスナーだったカレンちゃんが立派なアーティストになって、一緒にライブをするっていう」

DYES IWASAKI「エモいよね」

今回はもっと幅を広げたいねって、いろんなアーティストを呼んで、いろんな表情のFAKE TYPE.を見せられたらいいなと思いました(DYES IWASAKI)

――で、まさに『FAKE SWING 2』の冒頭を飾るのが、“Toon Bangers feat. DEMONDICE”ということなんですけど。

DYES IWASAKI「満を持して(笑)」

――今作は、コラボレーション曲が多いというのもひとつの特徴だと思うんですけど、そのあたりはふたりで話し合って決めたんですか。

DYES IWASAKI「そうです。前作『FAKE SWING』のときは、自分たちの力を示すという意図があって自分たちで完結させちゃったんですけど、今回はもっと幅を広げたいねって、いろんなアーティストを呼んで、いろんな表情のFAKE TYPE.を見せられたらいいなと思いました。“Toon Bangers feat. DEMONDICE”では、今のFAKE TYPE.にできるジャパニーズ・エレクトロスウィングを一発目に提示したくて、三味線とか尺八とか、和な要素を入れたんですけど、このトラック制作がいちばん苦戦しました(笑)。納得いかなくて、アレンジをやり直してるんですよ」

――情報量が多すぎて、ということですか。

DYES IWASAKI「そうですね。この楽器とこの楽器をどう掛け合わせるか、という部分を考えて。めちゃくちゃ難しかったです」

――DYESさんは、いろんな音楽要素を取り入れながらオリジナルなエレクトロスウィングを目指していく中で、混乱したりすることはないですか。

DYES IWASAKI「アルバムに向けてこういう曲を作ろう、というのをリストアップするんですよ。BPM帯であったり、曲調にしても狂気的に楽しい感じとか、かっこいい感じ、コミカルな感じ、哀愁漂う感じとか、いろいろあるじゃないですか。それが被らないように、かつ、前作とも被らないように、あらかじめ決めてるんですよね」

――なるほど。スタイルを貫きながら、リスナーを飽きさせない工夫ですね。シングル曲の“魔崇華麗奴”や“Honky Tonky Night feat.缶缶”では、しなやかなメロディが楽曲のムードを決めていましたけど、“Honky Tonky Night”ではトップハムハット狂さんと缶缶さんとの細やかな掛け合いボーカルも気持ちいいです。これの手応えはどうでしたか。

トップハムハット狂「細やかな掛け合いのほうが、よりコラボ感が出るかなと思って、そういうふうに配置しましたね。でも、缶缶さんのボーカル録音には立ち会っていなくて、別々の作業だったんですよ。今回の客演の人たちは、みんな別々だったよね。レコーディングに立ち会ってない」

DYES IWASAKI「全員立ち会ってないね(笑)。勝手に上がってくるみたいな」

トップハムハット狂「お互いにインターネットを通じて音楽をやってきた人たちだから、そういう作業には慣れているのかもしれないですね」

――みんなインターネット・ネイティブですもんね。じゃあコラボ曲についてどんどん伺いますが、次は“BARBER SHOP feat.青妃らめ”です。

トップハムハット狂「はい。これは昨今の、画像や動画、言葉の切り取られた一部分だけが広まってしまうことについて書いていて。切り取る作業を床屋さんと紐づけたリリックになっています」

――問題提起と表現のアイデアが面白い曲なんですけど、青妃らめさんの《ニヤついた三日月が/乱れ裂く とある一場面》という歌い出しのリリックだけで、トップハムハット狂さんの作家性を感じるんですよね。やさぐれた文学性というか。

DYES IWASAKI「ああー、確かに」

トップハムハット狂「ありがとうございます。逐一監視されている生きづらさというか、皆さん感じていると思うんですよね。そういうところを意識化して、ちょっと今やばいんじゃないの、という危機意識を持ってもらえたら嬉しいです。あと、この曲は今後公開されるMVを観てもらったほうが、より楽しめるのかな、という気がします」

次のページもともとラップをやっていたというアングラ精神と、インターネット音楽シーン出身というアングラ精神を併せ持っているので、そのハイブリッドですね。気持ちはずっと変わってない(トップハムハット狂)
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