【インタビュー】結成5周年を迎えたなきごとの新たな代表曲が詰まった最新シングル『君と暮らしの真ん中で』――その5年の歩みと制作秘話を語る

【インタビュー】結成5周年を迎えたなきごとの新たな代表曲が詰まった最新シングル『君と暮らしの真ん中で』――その5年の歩みと制作秘話を語る

コロナ禍の中でライブのスタイルがちょっとずつ変わって、「突きつけるライブ」から「一緒に作っていくライブ」になった(水上)

――今年ようやくROCK IN JAPAN FESTIVALのリベンジができましたね! 感想を伺ってもいいですか?

水上「去年の8月にかなり悔しい思いをしたので、1年越しのリベンジっていうのと、タイムテーブルがSAKANAMON先輩と前後だったっていうのもあって、自分の中ではすごく思い入れが深くて、今までのバンド人生の中でかなり上位に入るくらい、忘れられない1日になりました」

――岡田さんは初出演の感想はいかがですか?

岡田安未(G・Cho)「思ったより緊張しなかったっていうのと、自分たちのライブだけじゃなく、8月11日の1日全体含めて全部が楽しかったなって」

水上「私たちトッパーだったんですけど、RADWIMPSまで観て、そのあと楽屋ブースでご飯食べて帰りました。 たぶん誰よりも長くいます(笑)」

――リベンジできて本当によかったです。MCで「去年ベッドの上で泣いてました」って話していたのもグッときて。相当悔しい思いでいたんだなというのがすごく伝わってきました。

水上「今だから笑って話せることなんですけど、あのときもう泣きすぎて、コロナで頭痛いのか泣いて頭痛いのかわかんないぐらい、もうぐちゃぐちゃになってましたね」

――ようやくライブで声出しも解禁になり、お客さんのリアクションをビビッドに感じることができるようになりましたよね。

水上「まさにですね。それこそ前回のツアーの途中から声出しが解禁されたんですけど、自分たちのツアーで回ったときの声出しの感じと、フェスならではの空気感が、やっぱ全然違うなって思って。 夏フェス何本か出させてもらって、1本1本がしっかり自分たちの血肉になっていく感じがすごくあって、めちゃくちゃ成長させてもらいました」

――フェスとツアーの違いを具体的に言うと?

水上「自分たちのツアーは、自分たちのことをめちゃくちゃ知ってくれてる人たち、今までリリースした音源を聴き込んで、そのうえで来てくれる人がお客さんだなと思ってて。フェスで来てくれる人の中には、何曲か知ってて気になってたから観に行こうっていう人がいるから、ちょっと気になってる状態から、どんどん沼に引きずり込んでいく感覚があって、観てる人はどう思ったかわかんないですけど。自分としては、ちょっと気になってくれた人をめちゃくちゃ好きにさせるっていうのを結構意識してセトリも組んでいたので、ライブの後半になるにつれてだんだん一体感が増してく感じとかも、サーキットでも、自分たちのツアーでも味わえなくて楽しかったです」

――今回の作品は5周年という節目のタイミングでのリリースとなりますが、この 5年間はふたりにとって長かったのか短かったのか、どうでしょう?

水上「それこそ5年の中で、5年のうちの3年ぐらいがコロナ禍に直面していて。大体始動してから1年半後ぐらいで、お客さんと自分たちの中でどういうライブを作っていくのが正解なのか、まだ手探りの状態でコロナ禍に入ったので。あっという間だったし、結構長いこと地中に潜ってた感じもあります。だからこそ、ここ半年ぐらいのライブは楽しすぎて。手を上げてもらうこととか、手を叩いてもらうとか、コロナ禍の中でライブのスタイルがちょっとずつ変わっていったんですよね。やっぱ音楽が好きで来てくれてて、こんな状況でもライブハウスに来てくれる人だから、せっかくなら一緒に楽しめるほうがいいよなって。参加型にだんだんシフトチェンジしていって、当初の『突きつけるライブ』から、『一緒に作っていくライブ』になっていきました」

岡田「岡田安未っていう人間からしたら、5年はすごい長かった。すごいってほどでもないかもですけど、ちゃんと5年間あるなって感じます。なきごとの岡田安未からしたら、さっきもえみりが言ってくれたように、実質3年とか、結構短かったんですよ。長くもあり短くもあるみたいな、ちょっと複雑な5年間でした」

岡田と同じ考え方をする人にも好きになってもらえるし、私と同じ考え方をする人にも好きになってもらえるようなところを狙っています(水上)

――ちょっと質問の角度を変えるんですが、この5年でふたりの関係性って変わりましたか?

水上「だんだんいい方向に行っているなと思ってて。そりゃ喧嘩もしますし、もうバンドできないかもね、みたいな喧嘩もしたんですけど、だんだんその回数は減ってきていて。最初は、楽曲作るにあたっても、 個々のやりたいことが強いふたりなので、『これやりたいね』『でも、これは違うと思うんだけど』じゃなくて、 たぶん強い言い方してたんですよね。『いや、これちょっとないかな』みたいな感じで言ってたのが、だんだんマイルドな言い方で、お互いを傷つけないように気を遣い合うっていう関係性になってきてて。一見、気遣い合ってるってどうなの?って思う人もいると思うんですよ。だんだんバンドって家族みたいになってくから、バーって暴言とか吐いて、『俺たち仲間だよな!』みたいに和解するバンドが多いと思うんですけど。どっちも女の子ですし、やっぱ気にするところは気にするんで。だから、お互いここまでは踏み入っちゃいけないよね、って詮索しながら、気を遣い合える関係にいい意味でなったかなと思ってます」

――確かに女の子同士で喧嘩しまくって、最終的にハグして仲直り!とかないですよね(笑)。

水上「お酒飲むとそういうときもあるんですけど(笑)。喧嘩はないけど、『これからも一緒にやってこうな!』みたいなテンションのときはあります(笑)」

――水上さんが話してくれた変化は岡田さんも感じていますか?

岡田「私もひしひしと感じていて、お互い大人になったなっていう気持ちと、私は逆にえみりが寄り添ってくれてるのを感じていて、それに最近甘えすぎちゃってるんじゃないかなって思うんですよ。自分ももっと大人になって、自分だけが甘えるんじゃなくて、えみりを見習ったほうがいいんじゃないかなって、最近は省みることが増えました」

――その喧嘩は、やっぱり音楽性に関することですか?

水上「逆にそれ以外はあんまりないかもしれないですね。ふたりでバンドと全く関係ない会話してることもあるんですけど、猫の話とか(笑)。ふたりでカラオケ行って歌わずに朝8時まで語り合うとか(笑)。お互いやりたいことというか、バンドのことを考えて、こういうふうにしたらいいんじゃないかって思うことが別なんで、そこをすり合わせるときに話し合いになりますね。音楽性についてとか、方向性ですね。グッズひとつとってもそうですし。お互いにこだわり合った作品ができるから、それがなきごとの良さにもなってるし。その話し合いは、よりよくしていくために必要だなって思ってて。岡田と同じ考え方をする人にも好きになってもらえるし、私と同じ考え方をする人にも好きになってもらえるようなところを狙っています」

――意見をすり合わせるときは、お互いが歩み寄るのか、どっちかが折れることのほうが多いですか?

水上「時と場合によりますかね、折衷案をとれるときは、どっちもが納得できるように真ん中をとるんですけど」

岡田「軽い物事とかは大体えみりが折れてくれます。で、そのあとに『この間も折れてくれたばっかじゃん』ってさっきの話みたいに思うっていう」

――おふたりのバランスが取れていて素敵な関係性だなと思います。

水上「多数決ができないので(笑)」

岡田「たまにマネージャーの意見聞いて奇数にしたり、スタッフも巻き込んで(笑)」

次のページ次にリリースする曲は、もっと今までのなきごとらしく、でも今までにないなきごとを表現したくて、アレンジャーをお迎えしました(水上)
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