愛情にも才能にも必ず終わりが訪れる、だとしても

なきごと『愛才』
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なきごと 愛才
特にこの2020年代という時代においては、きっと多くの人が、それぞれの生きづらさを抱えながら生きているのだと思う。その切実な日々の中で、時に私たちは、他者に対して抱く、または、他者から与えられる愛情や、自らの内に見出す才能に縋りつきたくなったりする。このふたつがあれば少しは呼吸がしやすくなるかと思いきや、水上えみり(Vo・G)はこの曲の中で《愛も才も消耗品》と歌う。歌のメロディもサウンドもとびっきりポップではあるが、この曲に通底するのは、すべての物事には必ず終わりがあるというクールな人生観だ。だが、それは単なる諦念や絶望を意味するものではない。視界を鮮やかに押し広げていくような渾身のギターソロを経て、《本当はどうしたい?》という自問へ、そして、晴れやかなスケールを誇る大サビへ。ここで歌われるのは、たとえいつか朽ちていくものだとしても、《もう一度》《もう一回》目の前の愛情と才能に向き合おうとする懸命な意志だ。この歌があれば、私たちは今を強く生きていける。(松本侃士)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)


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