UK発の現代的なブルー・アイド・ソウルの歌い手として評価の高いジェイミー・リデル。前作は共同プロデューサーにベック、仲のいいファイスト、(ワープのレーベル同輩である)グリズリー・ベアのクリス・テイラーらが参加した賑やかな作品だったが、本作はナッシュヴィルに拠点を移したジェイミーがホーム・スタジオで自主プロデュースしたそう。
そこから「ホーム・メイドでクラシカルな作風」と予想するのは当然の話だが、いい意味で期待を裏切られる。ジャケの虹色ポートレートが示唆するように最初から最後までカラフルでファンタジック、キレのいい80年代調エレクトロ・ファンク~R&Bを徹底。そもそもエレクトロ畑から出て来た人だけに手際はいいし、マイケル・ジャクソン、ザップ、ジャム&ルイスにニュー・ジャック・スウィング(覚えてる人、いますか?)文法まで網羅と、ある年代にはグッとくるポップ・サウンドが氾濫している。当人の年齢を考えれば「青春期に愛した音」を愛と共になぞった=ノスタルジーの混じる作品とも言えるが、昨今のインディ/R&B双方がさんざん引用しているこのエリアを正面から料理したという意味で痛快。(坂本麻里子)
本家取りの究極かも?
ジェイミー・リデル『ジェイミー・リデル』
2013年02月06日発売
2013年02月06日発売
ALBUM