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Teleの文学性が炸裂しているタイトルだが、とっつきにくさはなく、描かれているのは身に覚えのある感情ばかり。自分を受け入れてもらえないような体感や、信じていたものに裏切られたような気分、未来が仄暗く見えてしまう感覚――心の奥底で渦巻く言語化しづらいネガティブさを取り繕うことなく表出させている。しかし、作品全体を聴いても暗い印象はなく、むしろ眠っていた生命力を叩き起こすような、逆境に置かれているからこそのポジティブさで満ちている。それはきっと、Teleの楽曲がどんな自分でも「大丈夫」だと肯定してくれるやけくそな強さを持っているからだ。とことんハードルを下げて、それでもなお大丈夫だと言われてしまったら、「私なんて」と言い訳する隙すらない。21曲も収録されたアルバムの最後を飾る“ぱらいそ”ではこう歌う。《光が見えなくたって息は続く。/どうだ、僕は大丈夫。》――だったら生きない選択肢なんてない。Teleに言わせてみれば、どう転んだってこの世界は《楽園》なのだから。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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