真の復活

ケイト・ブッシュ『雪のための50の言葉』
2011年11月23日発売
ALBUM
ケイト・ブッシュ 雪のための50の言葉
自分だけでなく、そういう人は意外と多いと思うが、『センシュアル・ワールド』と『レッド・シューズ』は、ずっとメロメロに夢中だったケイトへの気持ちがスーッと引いていったアルバムだったので、それを前作『ディレクターズ・カット』で作り直した、というのは何となく腑に落ちるものがあった。そして「やっとカタをつけて前に進める」勢いからか、早くも新譜がリリース。実際には前作と同時進行で作業していたようだけれども、やはりこちらの方が(これほど穏やかなサウンドなのにもかかわらず)創作に向けた熱の高さが伝わってくる。全体的にピアノ伴奏メインの落ち着いた作風ながら、かつての魔的な魅力が、また違う形で宿っていると思う。
 
1曲目“スノーフレイク”で聴かれるソプラノ・ヴォーカルは息子さんのアルバートの歌だそうで、声も似ているし結構びっくりした。また、5曲目“ウィーラー街で雪に閉じ込められて”のサー・エルトン・ジョンとのデュエットも、よくあるセレブのサービス的な共演トラックとは全く違う、表現が求める必然性に基づいたものだ。これこそ、本当に良い再生機器で聴きたい音楽作品。(鈴木喜之)
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