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前作のミニアルバム『blue night』でチリビは大きく変わったと感じている。それはMoto、Maika、Lilyの3人だけの秘密の遊び場みたいな感じだったバンドが『Welcome to My Castle』というアルバムを経て少しずつ開けていって世界との共通言語のようなものを獲得していく過程だったということなのだが、その印象は今回のEPを聴いて確信になった。歌詞もメロディもまるですぐ隣で喋っているような親しみを感じさせる“just try it”に始まり、LilyのギターもMaikaのベースも映えるシンプルなアンサンブルの中でぐるぐると回ってこんがらがっていく心のうちを素直に明かす“tragedy”、ハードなギターリフが炸裂する中シャウトが轟くパワーソング“pain”と、どの曲も目の前にちゃんと聴き手がいて、そこに向かって鳴らし歌っている感じがするのだ。最後の“pineapple!”はホイッスル鳴り響く妄想全開のサマーチューンだが、最後の《ぇ…君はしない?》でいきなりこっちに問いかけられる感じがドキッとする。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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