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ひとつのジャンルに傾倒することなく、バラエティ豊かな楽曲を手掛けてきたLavtの次なる一手は、忘れられない恋を描いたインディーポップ。ありふれた言葉を掛け合わせて、オリジナルな表現を導き出しながら、ストーリーテリングに音楽を展開していく。イントロを耳にしただけで脳内に鮮やかな情景が描かれていくのは、しっかりとした意図を持って、各楽器の音が作りこまれているからなのだろう。ギターは雨の質感を、ベースは曇った空模様を、ドラムは地面に弾ける水滴を捉えているかのようだ。そんなサウンドの中に、物語の主人公としてLavtの歌声が登場してくる。どこか淡々とした声色は、いまだ過去にできない思い出に縛られながらも、心の中では諦念を抱き始めている様を想起。ラスサビ前の《未練がずっと止まらないよ》で、感情をむき出しにせず、記憶の中の愛しい人へ語りかけながら歌う場面なんて、まさに象徴的だ。さすが怒涛の勢いで躍進する次世代アーティスト、その実力は伊達じゃない。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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