ホワット・オブ・アワ・フューチャー間違いなく彼らは相当な自信家だ。そしてちょっと変人かもしれない。そうじゃなきゃ1stシングルにスパンダー・バレエの“トゥ・カット・ア・ロング・ストーリー・ショート”のカバーを選んだり出来ないだろう。80年代のニューロマ・バンドの1つだったスパンダー・バレエの曲を、良いレトロさはそのまま残しつつこんなにも巧く21世紀バージョンにしてしまうとは。デジタリズムらエレクトロ・ミュージック系のアーティストを輩出するレーベル<Kitsune>からデビューした初めてのロック・バンドというだけある。「アレンジに相当の時間を費やす」というメンバーの言葉通り、彼らは神経質なほどに技巧を凝らして音を作っている。なのに、ノリの良さと軽快さもしっかりと存在している。つまりカザルスの音とは、深く聴き入るのにも能天気にダンス・チューンとして聴くのにも適しているという、いわば両刀遣いの代物なのだ。イギリス人なのにフランスのレーベルからデビューしたり、ライブの時ですら汗を見せなさそうなビジュアルからも想像が付くが、飄々と我が道を行く性質の彼ら。その音楽も正にそんな感じだ。(上田南)