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「この世界に二人だけ」と思える恋愛をしたことはあるだろうか? 「君」以外の誰とも接続せず、社会も顧みない視野狭窄な状態──anoはいつも「この世界に二人だけ」を求めながら、それが叶わないことを知っている。初期の名曲“SWEETSIDE SUICIDE”では《世界滅びてもふたりで 生きたい》という想いは届かず、“この世界に二人だけ”では親密な囁きと退廃的なギターサウンドに乗せて、結ばれなかった赤い糸への諦念を歌う。「この世界に二人だけ」は実現した途端に無味乾燥な日々の反復に変わるものであり、叶わないからこそ美しいという悲しい宿命を背負っている。愛したい、愛されたい、満たされない、報われない──anoの表現は渇望によってこそ輝き、そこに僕らは人生のやるせなさを投影して救いを求める。そうしてanoが僕らの「絶対的存在」でい続けてくれることを望みながら、いつか本当に「二人だけの世界」を見つけることを願うという裏腹な気持ちとともに、この曲の世界にひとり立ち尽くしてしまった。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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