このソフト・パックも、そんなバンドである。アルバム冒頭のリフを聴いただけで、根っこにパンクがあることが分かる。そして、キャッチーなメロディーを惜しむことなくバラ巻きながら、後ろを振り返ることなく突っ走っていく。まるで、その様はピストルズでもクラッシュでもなく、バズコックスである。その迷いのなさが、始まったばかりの新しい10年の空気とシンクロしている。フェイバリットに、フォールやテレヴィジョン、ワイヤー、R.E.M.、ジ・オンリー・ワンズを挙げているが、まさにそんなバンドだ。
UKもそうだし、アメリカもそうだが、純粋なギター・ロック・バンドがなかなかデビューしにくい時期だったりする。けれど、このバンドは、そんなものどこ吹く風という調子で、颯爽と闘いを挑んでいく。そこには、聴けば分かるだろ、という余裕さえ窺える。ボーカル、マット・ランキンの真っ直ぐな声には、どこか確信めいた強さがある。全10曲32分、ギター・ロックとしてここまで整然としたフォルムを持ったデビュー作を聴くのは久しぶりだ。完璧なスタート。(古川琢也)