エクスタシーの奔流

ファック・ボタンズ『タロット・スポート』
2009年12月09日発売
ALBUM
ファック・ボタンズ タロット・スポート
ポーティスヘッドが自身キュレーションのオール・トゥモローズ・パーティーズに招聘し、モグワイとのスプリット・カバーEPやNY前衛の鬼才グレン・ブランカとの共演など、局所で熱い支持を得るブリストルのデュオ。登場時フォールズらと並んでニュー・エキセントリックの一角にも挙げられた彼らだが、そのハードコアとレイヴとノイズが立体交差したサウンドはUS/UKアングラ見渡しても特異極まる代物だった。むしろ初期M83辺りのエレクトロ~ニューゲイザーに至る流れの個性派と捉えるのが正しいが、今回1年半ぶりの新作2ndでは以前にシングルで組んだアンドリュー・ウェザーオールをプロデューサーに起用。シェラックのボブ・ウェストンやモグワイ周りの人脈と組んだ1stのハードコア&エクスペリメンタルなエッジは湛えつつ、先行シングルのM1を筆頭に圧倒的な高揚感が持続するバレアリックなムードはハンパない。先日来日したフィールドなどKOMPAKT周辺に通じるエレクトロの疾走感。あるいはユニバーサル・スタジオズ・フロリダなど俗に“トロピカルIDM”とも呼ばれる一群に通じる享楽性は、完全に突き抜けた感あり。前回中止になった初来日公演のリベンジ、期待してます。(天井潤之介)
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