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『Feel / mild days』の2曲に共通しているのは、リリックにおける内声、つまり、内なる声の豊かな響きだ。鋭利な響きをたたえたギターのストローク、浮遊感のあるコーラスから始まる“Feel”は、《感じるままに生きてゆけたら》という切なる願いを歌ったミディアムチューン。空っぽな自分を守ることばかりに気を取られていた《わたし》が、《あなた》との出会いによって少しずつ自らを解放していく。そんな心の動きを大らかなメロディとともに描き出している楽曲だ。海外のインディーロックとの親和性を感じさせる“mild days”で歌われているのは、青春と呼ばれる季節の、愛すべき仲間たちと過ごした記憶。何気なくて愛おしい時間の欠片が、大人になった私たちの心を支えてくれる。それは単なるノスタルジーではなく、「今」を生きることに確かな意味を与えてくれてるのだと、この曲は教えてくれる。主旋律とコーラスの鮮やかな共鳴も心に残る2曲は、来るべきニューアルバムに向けた最良の導線になるだろう。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より)
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