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ギターを添えた優しいメロディと、穏やかに語りかけるような調子の《アイシテルコノセカイデボクラ》の言葉から始まり、ビートやシンセが鳴り出した次の瞬間にブレイクとともに冷徹なトーンで差し込まれる《イディオット》の一言に思わずハッとした。PEOPLE 1にとってアルバム『星巡り、君に金星』以来7ヶ月ぶりのリリースとなる新曲は、ざらつくクールな質感やリスナーを容赦なく駆り立てる狂騒感はそのままに、ヒップホップテイストを軸にEDM構造も取り込んだノイズ混じりのトラック、ほぼ全編にわたってオートチューンをかけたボーカルなど新機軸も打ち出した作品である。その一方で「馬鹿」「間抜け」といった意味を持つタイトルや、《うるさい外野の馬と鹿》《全部くだらない、笑えないや》といった毒気の強い吐き捨てるようなリリックの端々からは、依然としてDeuの奥底に横たわる諦念や厭世観、孤独もひしひしと伝わってくるがしかし、それらを抱えたまま強烈なパワーで推進していくラストのリフレインはとても眩い。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋)
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