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澤野弘之がトータルプロデュースを務めるプロジェクト、その壮大な全容を示す初のフルアルバム。各曲のジャンルは多様。一貫しているのは、美しく洗練されたサウンドデザイン&徹底的に磨き込まれたリズムセクション。また、ここではないどこかを夢想するようなSF性が全編に貫かれていながら、同時に、私たちリスナーの日々の生活におけるリアルな感情が各曲に滲んでいる。そうした親近感にも似た感覚をもたらすのは、Harukaze(Vo)の多彩な歌声だ。前へ踏み出すための覚醒感を授けてくれるパワフルなポップスがあれば、切実な心情に優しく寄り添う美麗なバラードもある。特に、“Break Free”のラスト、ボーカルのみのパートで炸裂する剥き出しのエモーションは圧巻。澤野が惹かれ、このプロジェクトの始動のきっかけとなったHarukazeの天性の歌声こそがNAQT VANEの真髄であり、また、Blu-rayのライブ映像を観ても明らかなように、その歌声はライブの場でさらなる輝きを放つ。果てしないポテンシャルを感じる。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
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