ヨルシカの最新配信シングル“アルジャーノン”。静かに穏やかに響くピアノサウンドとsuis(Vo)のどこまでもピュアな歌声とに思わず目を閉じて聴き入ってしまう。そのタイトルからダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を連想する。その小説のストーリーを知る人ならば、《貴方はどうして僕に心をくれたんでしょう》という歌い出しから、後半の《僕らはゆっくりと忘れていく》という歌詞へと変化していく様に胸をぎゅっと掴まれる想いがすることだろう。それとともに、この楽曲は、TBS系火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』の主題歌という側面も持つ。もちろんこのドラマと『アルジャーノンに花束を』に相関はない。にもかかわらず、この歌は『夕暮れに、手をつなぐ』のドラマにもしっかりと寄り添うものになっているのだから、n-buna(G・Composer)の作詞の奥深さにまたもや驚かされる。そしてその奥にはヨルシカだからこその「生」への思想も内包されている。しかしそうした考察は脇に置いておいたとしても、この楽曲の純粋な美しさと切なさは特筆に値する。名曲。(杉浦美恵)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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もう一度小説を開きたくなる
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