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生まれ育った場所に対して、若者たちが「こんな退屈な街、最悪だ。すぐにでも出て行きたい」などと憤っていたのは、いつ頃までだろうか? おそらく平成の終わりくらいにはそんな時代は終わっていて、世界中の音楽や映画が手元で観られるようになってからは「どこにいても同じ」という感覚が当たり前になっているはず。どこにいても同じなんだから、今の場所を大切にするしかないじゃないか――札幌在住の3ピースバンド、KOHAKUのミニアルバム『退屈もそれはそれで』の根底にあるのは、切なくも美しい、そんな思いだ。変わり映えのない日々の中で小さな明日の光を見つけようとする“町を編んで”、自分や他人の人間らしい部分を愛せるようにという思いを込めた“kibi”、《意味なんて探さないで/日常にいこう》と真っ直ぐに歌う“けんかをしよう”。シンプルで瑞々しいバンドサウンドとともに、今、此処にいること、そして、そばにいる人たちに思いを馳せる本作は、10代のリスナーを中心に、深い共感を呼び起こすことになるだろう。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より)
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