2年連続のアルバムリリースからの全国ツアーと、デビュー25周年を精力的に駆け抜けるCocco。RIJF2022で初披露された艶やかなダンスチューンが、待望の配信リリースとなる。《あなたさえ言うの?/都合の良すぎる/無礼掲げて/「思うより 元気そう」って?》《お望みの通り/そう見せてるだけで/傷が癒えたと/いうわけじゃないってのに》と親しき者からの悪意無き気遣いへの苛立ちを表したあと、耳を掴んで離さない強烈にキャッチーなサビでは《まだ痛いな/まだイタイな》と繰り返される。間違いなく「まだ痛い」し、しかしいつまでも負の感情に苛まれ続ける自分が「イタイ」ことにも自覚的という、シンプルにして両義的なリリックが素晴らしい。悲観的な心情、あるいは悲鳴そのものを音楽の力によって武器へと転換する。Coccoがデビュー時に用いたそんなグランジの作法が、ここでは新たな音楽的手法を伴い見事に更新されている。この楽曲は、まるで一筋縄ではなかった25年を生き抜いた彼女が今なおこうも成長を続けているのだと告げる、Coccoからの報告。なんと逞しく、誇らしい。(長瀬昇)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より)
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Cocco『お望み通り』
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