ポップ・スターの長期計画

テイク・ザット『ワンダーランド』
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ALBUM
テイク・ザット ワンダーランド
単に、四半世紀を生きながらえてきたわけじゃない。今年デビュー25周年を迎えるテイク・ザットが特別なのは、彼らが常に感度高く時代性をキャッチする好奇心を保ちつつ、ポップ・スターとしての不変の矜持も大事にしているという点だ。特に再結成後のここ十数年は、そのふたつの両立を意識的に進めながら、彼らは見事に「今」のグループとして成功を収めている。全英1位を獲得した前作『スリー』(映画『キングスマン』の主題歌“ゲット・レディ・フォー・イット”も最っ高でした! )から2年半、3人編成となっての2枚目は、まさに前述の「両立」が証明された快作だ。『ワンダーランド』というタイトルにも象徴されるような、インドやロマの民族音楽を取り入れたタイトル・トラックを筆頭に、現在進行形のエレクトロ・ソウルやフィルター・ハウス的ファンクネス、そしてもちろんユニゾンで王道ど真ん中を突き抜けるキャッチーな歌メロと、多様なジャンルを吸収&咀嚼し、彼らのポップ・ソングをまた一歩前進させている。テイク・ザットのこの25年の歩みは、たとえば現在活動休止中のワン・ダイレクションの、十数年後のヒントにもなるんじゃないか。(粉川しの)
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