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    再び迎えたルネッサンス

    ライアン・アダムス『プリズナー』
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    ALBUM
    ライアン・アダムス プリズナー
    12月の初の単独来日ライヴも好評を博したばかり、絶好のタイミングでオリジナル新作が登場する。ティーザーとして発表済みのM1こそグラミーにノミネートされた“ギミー・サムシング・グッド”を思わせるパワー・コード全開のヘヴィなロック・バラッドながら、全体のトーンはつきものが落ちたようにクリアかつ良い意味でシンプル、絶妙な泣きを備えたメロディックな楽曲+美声という彼の魅力がストレートに伝わる(ぜひアコースティック・ショウで観たい!)。サウンド面では意外やウィスキータウン期が思い浮かんだが、離婚というプライヴェートな苦悩を経ながら書かれたという本作のエモーションは怖いもの知らずな若者のそれではなく、恐れや苦さを味わった人間の真情を映し出す。しみる。

    AC/DCやブルース・ホーンズビーといったあまり「クール」とされない名前が影響源としてあげられているのは、元々スノビズムは嫌いなこの人が自らの王道性に正面から向き合ってくれた証しかな、と思う。前作に引き続き本人のスタジオでの自主プロデュースだろうが、このポジティヴな環境からはどんどん優れた作品が生まれそうだ。(坂本麻里子)
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