2022年の夏、大きな話題を呼び、記録的な収益を獲得したのがモトリー・クルーとデフ・レパードの共闘による北米スタジアムツアーだった。その2組に加えてポイズンとジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツが名を連ねた同ツアーがそこまでの成功を収めたのは、80年代に青春を謳歌したメタルヘッドばかりではなく、幅広いロックファンからの支持を集めたからこそだろう。
両ヘッドライナーの共闘は来年も続き、ツアー自体がワールドワイドな規模で展開されることも決まっているだけに、ここ日本でも極上のパーティーを楽しめる日が訪れることを期待したいところだ。2015年末にはバンド自体がツアー活動の完全終了を宣言しているわけだが、それを自ら蹴散らすように撤回したのは大正解だったということになる。
ただ、仮に来日公演が実現する場合でも、「あの4人」によるステージを観ることは残念ながら叶わないようだ。バンドは現地時間の10月27日、最年長メンバーであるギタリストのミック・マーズのロード生活引退を正式に認め、今後はジョン5と共に活動継続する意向を表明している。昔も今も、このバンドには本当に、いつ、何が起きるかわからない。
ロッキング・オン12月号には、そんなモトリー・クルーの貴重な長編記事が掲載される。そのインタビューが行なわれたのは、彼らにとって自己初の全米No.1アルバムとなった第5作『ドクター・フィールグッド』の発表から半年後、1990年の序盤のこと。
記事中では80年代というディケイドを通じて彼らがどのような暴走生活を送ってきたかが赤裸々に語られ、ボン・ジョヴィやガンズ・アンド・ローゼズといった後輩世代との間に生まれたさまざまな因縁、確執などについても、ちょっとした皮肉のスパイスをちりばめながら明かされている。
セックスとドラッグがロックンロールとセットになっていた時代、彼らが行くところには常にゴシップの火種となる問題が起きていた。そんな時代が封じ込められたこのインタビューもまた、あらゆる世代のロック・ファンに目に触れて欲しいものである。(増田勇一)
モトリー・クルーのインタビューは、11/7(月)発売のロッキング・オン12月号に掲載します