アーケイド・ファイア『リフレクター』、聴きましたか?

アーケイド・ファイア『リフレクター』、聴きましたか?

先日、ようやくリリースされたアーケイド・ファイアの最新作となる4枚目の『リフレクター』。
世界中に現れた謎のシンボルに始まり、リリースされるまでの道のりがずいぶん長く感じたが、蓋を開けてみれば、これまた素晴らしいダブル・アルバム。
聴けば聴くほど、はまります、これ。

今出ているロッキング・オン12月号(表紙:ポール・マッカートニー)の対談連載VIRでも語っているが、この作品を初めて聴いたときの印象は、ザ・クラッシュの『サンディニスタ!』。
長尺のアルバムであり、ダンス・ミュージックを露骨に取り入れていて、なおかつカリビアンなテイストもあるという。しかも両方ともバンドの4枚目だし。
ただ、それには若干ネガティヴな意味合いも含んでいて、ザ・クラッシュの意欲作にも感じられる、なんだか雑多で、とりとめのない感じが第一印象にあったことは否めない。
しかしだ。この号に掲載されているウィル・バトラーのインタヴューでバンド自身が実際に『サンディニスタ!』をモデルのひとつとして考えていたと明かしている。
しかも「四方八方に拡散する……長いし、奇妙なトラックも入ってて、マジにクレイジーでどっちらかった、と同時に驚異的なアルバム」である『サンディニスタ!』と、「短いアルバムで、ものすごくこう、美学的なまとまりのある作品」であるトーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』を合わせたような作品にしたかったと語っているのだ。

『リフレクター』はまさにそんなアルバムである。
確かに一聴だけだと、無駄に長かったり、不必要に感じる箇所があるように思えるが、何度も聴いているうちにその”とっちらかり”感こそが、”生と死”というこの作品の壮大なるテーマを描くのにもっとも的確な表現だということに気付く。
別に聴けば聴くほどよくなる”スルメ的”な作品とは思わないけど、聴くたびにまるで違う印象を受けるという意味では、ホントにこの作品は面白い。

ちなみにスパイク・ジョーンズが監督したこのクリップも必見。
これ、ライヴ映像なんだよな。
アルバムにも感じられる不安と幸福が絶妙に表現されていると思う。
最高。(内田亮)
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