フォーク・ビッチ・トリオをWWWで目撃!

フォーク・ビッチ・トリオをWWWで目撃! - pic by KAZUMICHI KOKEIpic by KAZUMICHI KOKEI

クオリティの高い新世代フォークの再解釈で、メディア/リスナー双方から熱い視線を集め、rockin'onの新人紹介企画『気になるあいつ』でもフィーチャーされたフォーク・ビッチ・トリオが、ついに来日!
伝統的なフォークの系譜に根ざした美しいハーモニーと、等身大でチャーミングな佇まいで日本のファンを魅了した、4月6日(月)の初来日公演の模様をレポートします。

まず、会場に到着して驚かされたのは、詰めかけたファン層の幅広さだった。古着に身を包んだグランジ風の若者からスーツ姿のサラリーマンまで、老若男女が均等に集っている光景が印象的だった。中には親子でライブに参加している観客の姿もあり、フォーク・ビッチ・トリオの音楽に宿る世代を超えた普遍的な魅力を証明しているように感じられた。

そんなことを思いながら会場を見渡していると、開演予定時刻から数分遅れて、黒一色の衣装に身を包んだジーニー、グレイシー、ハイデの3人がステージに登場。初来日とは思えないほど親密な空気がすでに会場に漂い、演奏が始まる前から日本のリスナーの心を掴んでいた。デトロイトのフォークシンガー、テッド・ルーカスの“I'll Find a Way (to Carry It All)”のカバーで幕を開け、フォークというルーツへの敬意を提示すると、約60分のライブがスタートした。

そうして幕を開けた日本での初ライブは、2曲目“Hotel TV”以降はすべてオリジナル曲が続いたが、聴いていて非常に興味深かったのは、フォーク・ビッチ・トリオが音源とライブでまったく異なる表情を見せる点だ。デビューアルバム『Now Would Be A Good Time』では、美しい混声ハーモニーを軸にしながらも、瑞々しく弾けるようなエネルギーが感じられる。

一方でライブは、より物悲しく、洞察に満ちたリリックの世界観を増幅させるメランコリックなトーンで貫かれていた。その変化が特に顕著だったのが“The Actor”と“God's A Different Sword”。しかし、楽曲の魅力が損なわれるどころか、3人の声が溶け合う瞬間の心地よさと、緻密に構築されたコーラスワークは、むしろ音源よりも強く際立っていた。

一方で、そうした翳りを帯びた演奏とは対照的に、MCは終始和やかだ。オーディエンスに熱心に語りかけるグレイシー、「ありがとうございました」と言うたびにどこかギャルっぽくなるジーニー、そしてややシャイな佇まいのハイデ。この絶妙なバランスもまた、フォーク・ビッチ・トリオの魅力のひとつだろう。

フォーク・ビッチ・トリオをWWWで目撃! - pic by KAZUMICHI KOKEIpic by KAZUMICHI KOKEI

そんな一夜の個人的なハイライトは、グレイシーが「Very Old Song」と紹介して披露された終盤の“Analogue”。彼女の独唱から始まり、やがて3人のコーラスが重なる。その後半、《So keep on dreaming of the ways you'll get it wrong / Again, my love》が響いた瞬間の儚さと切なさは、この日随一の訴求力を放っていた。

フォーク・ビッチ・トリオという挑発的なバンド名とは裏腹に、極めて高い完成度のソングライティングとハーモニーを備えた3人。その“ハーモニーの美しさ”という点において、2026年屈指の名アクトであったと断言したい。(北川裕也)
rockin'on 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on