「究極的に大事なのは音楽なんだ。
だから俺たちはそこに集中しようと思ってる。自分たちが書ける最高の曲を書いて、それに気づいてくれる人がいたら素晴らしい。
誰も気づいてくれなかったら、もっと良い曲ができるように書き続ける」
デビュー作『イット・ウォント・オールウェイズ・ビー・ライク・ディス』がUK&アイルランドでダブル1位を獲得し、今年最も大きな飛躍を遂げた新人ギター・バンドの代表格となったインヘイラー。
彼らはその快挙のために、特別に奇を衒ったことをしたわけではない。ロックの力を信じて必死に良い曲を作り、英国中のべニューを地道に回るツアーでロイヤルなファンベースを築き、弛まない努力の先で見事に期待に応えてみせたという意味ではとことん正攻法、古典的とすら言えるバンドのサクセス・ストーリーだったからだ。
ロックを長らく覆い続けたニヒリズムを正面突破したインヘイラーのそのひたむきな姿勢は改めて評価されるべきだし、彼らと同世代の若いリスナーにそれが新鮮に響いたという点に何よりも希望を感じる。
ちなみに彼らの2021年のベスト・アルバムを訊いたところ、イライジャはサム・フェンダーの『Seventeen Going Under』、ライアンはウルフ・アリスの『Blue Weekend』と今年のUKロックの大ヒット作を迷わず選出。これまたギター・ミュージックの現在を誇り、未来を信じるインヘイラーらしい納得のチョイスだと思う。(粉川しの)
インヘイラーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。