まだ誰も歌っていないラブソングを歌う、23歳のシンガーソングライター・ルイのワンマンライブを観て思ったこと

まだ誰も歌っていないラブソングを歌う、23歳のシンガーソングライター・ルイのワンマンライブを観て思ったこと
ギターやキーボードの弾き語りスタイルで、路上ライブやサーキットイベントでも精力的に活動中の23歳のシンガーソングライター・ルイ。昨夜はサポートメンバーを引き連れたバンドセットのワンマンライブで、アコースティックパートや未発表曲もたくさん織り交ぜた盛り沢山な2時間のパフォーマンスを繰り広げた。

その中でも特に印象的だったのが“灰色の虹”の前のMCで、自分の曲にはラブソングが多いけど恋多きタイプではなくて、誰かを好きになったり何かに夢中になれると、その気持ち自体が大切に思えてくると語っていた。
世の中には本当に多くのラブソングが溢れているけど、ルイのラブソングに普通じゃない何かを感じていた理由がその言葉を聞いてよくわかった。ルイのラブソングは、恋が実ったとか別れてしまったとかの結果よりも、恋そのものに焦点を当てている。恋を通して自分と向き合っている、と言い換えてもいいかもしれない。恋愛至上主義的な風潮は未だに根強いけれど、恋をして成就した人が幸せ、ということではなく、人を好きになれること自体がそもそも奇跡だよねと肯定してくれる歌に、肩の荷が下りるような、救われる気持ちになる人がきっといるのではないかと思う。

15秒だけ聴いて耳に残るようなわかりやすさを追求するのではなく、心の底から湧き上がってきた尊い「好き」という気持ちを大切に扱うから、《欲しいのは色がついて見えるあなただけなの/恋をしているから 灰色の虹》なんてロマンチックで美しい表現ができるのだろう。まだ誰も歌っていないことを歌っているから、理解してもらうのに時間がかかる、自分で道を切り開かないといけないタイプのアーティストかもしれないけど、いつかお茶の間にルイのラブソングが流れて、それぞれが自分のペースで恋と向き合えるような世の中が訪れたらいいなと思う。(有本早季)



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