7月1日(土)
「続きを書け」という書きこみを3件いただきましたので、
強引に好評と見なして出張日記を続けることにします。
というわけで。7月1日土曜日、イビサから飛行機に乗って
ジュネーヴで乗り換えてロンドンへ着くはずが、ジュネーヴ到着が
1時間遅延したため、着いた時には既に私が乗るはずだった
ヒースロー行きの便はお空の上。
今夜はロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで
レディオヘッドを見る予定なのに!
「ね、ねくすとふらいと! あいうぉんととぅらいどねくすとえあー!」
「ちょっと待って、調べるから……あ、空きがあった、OKだよ」
「ほわっとたいむ?」
「16:20」
じゃあ着くの何時?
計算してみたところ、ヒースロー到着が17:30頃。
ライヴのチケットを持っている山下えりかとの待ち合わせ時間は18:00。
とても30分で着ける距離ではない。
慌てて山下やら同じく弊社特派員児島由紀子やら
ロンドンに着ているRO坂本麻理子やら
チケットを手配してくれた東芝EMIの林さんのホテルやらに、
片っ端から電話をかけようとするも、まず公衆電話が
私のクレジットカードに反応しない。
その辺のばあさんや空港職員に「どうやるの?」とたずねるも、
みんな「分からない」としか言わない。
中には親切に対応してくれる人もいたけど、いかんせんスイス語なので、
英語以上に何言ってんだかさあっぱり分からない。
15分後、ようやく電話機がカードに反応する方法を発見。
が、今度は何故か電話がかからない。
あとで知ったのだが、
ちょうどイギリスで市外局番の変更があった直後だったらしい。
とにかく「市内の場合は7、市外の場合は8をセカンド・ナンバーの
前だかあとだかにつけてかけ直せ」みたいなことを言っているらしい
ナレーションが流れるのみ。
何度も何度もかけ直してはそのナレーションをきき、
いろんな箇所に7をくっつけたり8をくっつけたりして再びかけ直す、
という作業をくり返す。
30分後、見事山下に電話がつながる。やったあ!
……留守電だった。
その後、児島、坂本、林さんに次々とかけるも、全員留守。
とりあえず「兵庫ですう!」「遅れますぅ!」「ジュネーヴですう!」
「チケットををを!」などと、イタ電まがいのメッセージを
それぞれの留守電に残しまくる。
ふと気がつくと、汗びっしょりになりながら電話を
かけてはわめき、切ってはまたかけをくり返す東洋人=私を、
周囲のスイス人どもがものすごく怪訝そうな顔で見ていた。
睨み返すとみんな目を反らす。くそぅ。
フライトまで1時間、やることもないし腹も減ったが
スイスの通貨なんか持っていないので、カードをふり回して
「OK」と言われた手近のメシ屋に飛びこむ。
が、メニューを見てもスイス語なので分からないし、値段を見ても
それが何円に値するのかが分からない。
しょうがないので、近くのテーブルで食っている人を指差して
「あれとあれ」とオーダーし、ワインと油にびったびたに浸した
食パンの上に卵を落としてオーブンで焼いたみたいな、
姿も形も名前も味もよく分からない食い物をビールで腹に流し込む。
16:10、無事フライト。17:30、ヒースロー着。
が、入国審査が大混雑で、空港の外に出られた時には既に18:00。
地下鉄でホテルを目指し、到着したのは19:00。
どうせレディオヘッド出るのは21:00くらいからだろうけど、
俺のチケットはどこにあるんだあ!
とあせっていると、「メッセージが届いてますよ」と
いかにもスケコマシそうなスペイン系のホテルマンが言う。
「チケット渡しに出て行くから、20:55に会場入り口にくるように。
なんかあったらこの番号に電話して。山下えりか」。
おおおお。助かったあ!
あ、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールってどこにあんの?
「携帯なんて持ってたっけ、山下さん」と思いながらかけてみた。
「はい、長谷川です」
「え……長谷川さんってスヌーザーの駐在員の長谷川さん?
BUZZの兵庫です」
「ああ、お久しぶりです」
山下も児島も携帯持っていないので、人の携帯を連絡先にしてたらしい。
2時間後、無事に会えた山下えりかは「もう携帯買うことにした。
今日のことで思い知った」と言っていた。
「兵庫は何としてでも来るだろうと思ってたけど、
ほんとに来たねえ」と笑ってもいた。
ともあれ、レディオヘッドを無事見ることができ、
山下と中華街で飯食ってからホテルに帰り、2日ぶりに寝る。
ていうか、7月1日だけでこんなに書いてどうする。
まだ飽きられていなければ次回に続く。
(次回に続く)