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    Little Glee Monsterの5人の歌の波動が日本のポップシーンの壁を越えていくのはなぜか?

    Little Glee Monsterの5人の歌の波動が日本のポップシーンの壁を越えていくのはなぜか?
    今年でデビュー5周年を迎えたLittle Glee Monsterのここ最近の快進撃が凄まじい。9月にリリースされた『ECHO』は「ラグビーワールドカップ」のNHKラグビーテーマソングとして、彼女たちの名が一層広く知られることになったのだが、それ以上にこの楽曲の持つスタジアム級のスケール感と重厚なサウンド、《叫べよ 声のかぎり響け》と5人が声を合わせた時に生まれる聴く者の魂をも震わせるほどの力に驚かされた。今だからこそ発揮できるリトグリの強さを感じたのだ。

    中高生ボーカルグループとしてデビューした5年前、芹奈は青、アサヒは黄色、MAYUは緑……とそれぞれのカラーのヘッドフォンを首にかけて歌っていた彼女たち。あどけなくて無邪気な佇まいと、ソウルフルで圧倒的な歌唱力とのギャップが注目を集めた。しかし5年が経って最年少のmanaka以外は20代になった現在、歌が放つ意味や、それを誰かに届ける使命感など含め、それぞれが持つ歌声に心や体がしっかりと追いついてきた印象を受ける。かれんの突き抜けるような高音の輝きや、芹奈のエモーショナルかつ細やかな表現力など、それぞれの個性にも更に磨きがかかってきた。


    “ECHO”はラグビーのテーマソングだけれど、リトグリもボーカルグループとして「ONE TEAM」で戦っている。この曲自体、細かいリズムの中に言葉を刻んだり、音符と音符の間をゆっくりと移ろうような部分があったりと、5人で呼吸を合わせて他者を感じながらそれぞれが自分を信じて歌わなければ成立しない難易度の高い楽曲である。ひとりで歌っていたらきっとここまでストイックにシビアに研ぎ澄ませていなかったであろうレベルまで、この5人で到達しようとしているんだろうなと感じるからこそ、聴いている者を鼓舞することができるのだ。

    また12月11日(水)には、アース・ウインド&ファイアーとのコラボ曲“I Feel The Light”もリリースされるが、70年代ファンクを築いた世界の大御所とのロサンゼルスでのレコーディングでも臆さずに5人のグルーヴを発揮しているのはさすが。まさにリトグリは世界基準で戦っていける日本のボーカルグループに成長しつつある。年末には3年連続となる『NHK紅白歌合戦』への出場もあるし、ライブパフォーマンスでもどんどん個性豊かに強くたくましくなっている彼女たちは今、どのステージも見逃せない。(上野三樹)

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