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    ヘンリー・ロリンズ、ノースカロライナ州の反LGBT法はトイレの問題だけじゃないと訴える

    ヘンリー・ロリンズ、ノースカロライナ州の反LGBT法はトイレの問題だけじゃないと訴える

    元ブラック・フラッグやロリンズ・バンドのヘンリー・ロリンズはノースカロライナ州で成立した反LGBT新法について「頭の悪い奴隷番が鞭を鳴らしているような威嚇的な屁理屈」だと批判している。

    ヘンリーは連載コラムを執筆しているLAウィークリー紙に寄せた原稿で、通称HB2法とも呼ばれるこの新法がトイレやロッカールームなどでは生来の性別でしか使えないことばかりが注目されていると指摘している。この新法は、公共施設のトイレやロッカールームなどについても生来の性別以外での使用を禁じることを合法化するものになっているだけでなく、性的指向や性的アイデンティティを理由とする差別を合法化するものでもあって、LGBT市民への保護を目的する今後の法案の成立を妨げるものともなっている。

    「HB2法はもっぱら『トイレ法』として話題になっているけれども、それ以上に大変なことなんだよ。この法律は州の自治体の職員が既存の人権擁護の枠にLGBTの人たちを含められないようにする法律なんだ。民間で事業をやっている差別主義者にとっては、差別解禁だっていうものなんだよ」

    さらにこれまでブルース・スプリングスティーン、リンゴ・スター、パール・ジャムらがノースカロライナ公演をボイコットしたことは、こうした差別と闘うことに注目を浴びせることになるのでとても有効なアピールと評価し、パトリック・マクローリー知事が「大企業やそうでもないビジネスによる金が全部引き上げられてしまうか、あるいは呼び戻したいのか、その選択を迫られる」ことになると説明している。実際、今回の新法については成立に反対して大手ネット決済会社のペイパルが400人規模のオペレーション・センターのノースカロライナでの設立を白紙撤回し、ドイツ銀行も支店設立を見送るなど大きな波紋を呼んでいる。

    またヘンリーはマクローリー知事について次のように評している。

    「実のところ、こいつの名前がなんだろうと誰も気にしてないんだよ。こいつのことはもうぼんやりとしか思い出してもらえない人物になるはずで、それはあのろくでもない法律に署名してノースカロライナ人の大半を辱めたクソバカ野郎としてでしか記憶されないから」

    ただ、実はブルースにはライヴはやってほしかったとも次のように綴っている。

    「ブルース・スプリングスティーンに対しては敬意しかないけれども、ただライヴの中止はしないでもらいたかったんだ。むしろその場に集まった何千人ものファンに、自分たちの州の偉大さがどれだけ損なわれてしまったのかを語りかけ、ライヴの収益をどういう団体に寄付するつもりなのかということを説明してほしかった。中止にするってことは、マクローリー側からの説明や表明を一方的に終わらせる口実にもなるわけで、そこからまたいろいろ始まるわけだからね。でも、もちろんいずれにしても、スプリングスティーンを怒らせるやつはただじゃ済まされないっていうのははっきりしてることだから、それを押し通したいってことだったんだったら、それは俺も納得の上で全然構わないことだから」 
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