miwa @ 日本武道館

miwa @ 日本武道館
miwa @ 日本武道館
「miwa live at 武道館~卒業式~」と題した、miwa初の日本武道館公演。今春、大学を卒業したばかりの彼女の集大成であり、そして新しいスタートを予感させる、充実したステージとなった。

公演は、miwaのデビュー前のライヴ映像からスタート。ライヴ活動を初めて間もない頃のたどたどしいパフォーマンスにも、会場から温かい拍手が送られる。おぼつかないながらも必死になってギターを弾き歌う、高校時代のmiwa。果たして当時の彼女は、日本武道館というステージに自分が立つ日がこんなにも早く来ることを予想していただろうか。

miwa @ 日本武道館
「武道館、みんな元気? 今日は来てくれてありがとう!」とmiwaが登場し、“Wake Up, Break Out! ”がスタートすれば、武道館をものすごい歓声とハンドクラップが埋め尽くす。歌いながら、会場をゆっくりと見回すmiwaの表情はとても明るい。彼女の真っ直ぐな歌声が凛と響いて、武道館に爽快な高揚感が広がっていく。アコギからフライングVに持ち替えて“ありえない!!”を披露すれば、会場からは怒涛のオイコールが巻き起こり、タオルがクルクルと回される。バンドサウンドとともに、武道館にたちまちライヴハウスの熱狂をもたらすmiwaの音楽は驚くほどに屈強だ。続く“Chasing hearts”でも軽快なビートと歌声が、武道館を清々しく燃え上がらせていった。

ものすごい歓声を受け、「すごい! ここが全部、自分のお客さんで埋まるなんて信じられない!」と笑顔でステージ左右の花道を駆け上がり、観客に手を振るmiwa。彼女の胸の高揚が、手に取るように伝わってくる。まだまだライヴ序盤ながら、「もうちょっと疲れたな(笑)。はしゃいでるよ、私。楽しい!」と笑う彼女に、オーディエンスの拍手と歓声は鳴り止まない。本当に、日本武道館が卒業式のような万感の思いでいっぱいだ。

miwa @ 日本武道館
日本武道館では、キャロル・キングやエリック・クラプトン、マライア・キャリー、アンジェラ・アキの公演を観に来たことがあるというmiwa。さらに、なんと武道館で行ったという高校の体育祭の思い出を語り、観客を笑わせていた彼女にとって、ある意味、このステージは必然の場所だったのかもしれない。「皆さん一人ひとりが、私をここに連れてきてくれました。本当にありがとうございます」と会場に深くお辞儀すると、ライヴ初披露となる“カラ*フル”をハンドマイクで熱唱する。さらに、“friend ~君が笑えば~”、“片想い”、“オトシモノ”とミドル・バラードの楽曲を続けたライヴ前半戦のラストは、この日のハイライトの一つと言えるほど観客の胸を強く締め付けた。

miwa @ 日本武道館
再びスクリーンにデビュー前のライヴや初レコーディングの映像が映し出されると、“don't cry anymore”でライヴ後半に突入する。またもや武道館にオイコールがこだました“いくつになっても”に続いて、「次の曲、歌えるか!? 踊れるか!?」とmiwaがオーディエンスを煽って、“FRiDAY-MA-MAGiC”を披露すれば、会場が鮮やかな歓喜に染まる。しっとりしたバラードもmiwaの武器だが、弾けるような爽快なポップ・チューンも彼女の大きな魅力だ。「盛り上がってるか? 最高だね!!」とmiwaが会場を煽ると、武道館の興奮はさらに加速する。親密な空気感なまま、果てなくヒートアップしていくオーディエンス。もう完全に日本武道館はmiwaの掌の中だ。MCで、名探偵コナンのモノマネで会場をざわつかせるなどしながら、どこまでも彼女らしいパフォーマンスで、会場に鮮やかな熱狂をもたらしていった。

miwa @ 日本武道館
アンコールではなんと、袴姿で登場。「少しでもみんなに成長を感じてもらえたらという気持ちでここに立っています。これからもがんばっていくので、ずっとずっと見守ってもらえたら嬉しいです」と語ると、まるで彼女の未来を見通すに正面を真っ直ぐに見据えて“僕らの未来”を歌い、新しい彼女のスタートを響かせる。さらに、「卒業式」というステージのテーマを強く伝える“春になったら”で武道館に大合唱を巻き起こすと、「みんな大好き!」と笑顔でステージを去った。ダブルアンコールで再びステージに戻ってくると、「帰りたくないね。終わってしまうのがもったいないもん」と武道館を見回しながら、音楽活動をはじめた頃の気持ちを語る。すると、いろんな思いが蘇ったのだろう、思わず感極まったように彼女は涙を見せる。観客からの温かい歓声に応え、「こんなにもたくさんの人たちに出会うことができて、感謝の気持ちでいっぱいです」と語ると、この日のラストは高校3年生の時に書いた楽曲“つよくなりたい”。目の前の光景を目に焼き付けるように会場を見回して歌うと、最後は「ありがとうございました」と笑顔でステージを去ったmiwa。オーディエンスと彼女の深い結び付きと、これからのさらなる飛躍を予感させる、温かな「卒業式」だった。(大山貴弘)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on