ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES.2009(1日目) @ 横浜アリーナ

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES.2009(1日目) @ 横浜アリーナ - pic by TEPPEIpic by TEPPEI
ASIAN KUNG-FU GENERATION主催の恒例ロック・フェス『NANO-MUGEN FES.』が今年も7月19日(日)・20日(月・祝)の2日間に亘って開催! 今年も昨年に引き続き1日ずつレポートします。

今年はASIAN KUNG-FU GENERATION+すべての洋楽アーティストが2日間登場するということで、1日目の洋楽アーティストについては、ネタばれになってしまうので雰囲気だけ伝わるようなレポートとなっておりますのでご了承を。

で、「NANO-MUGEN」の恒例と言えば、フェス開催前の前説です。今年は潔&山田コンビが登場し、まずはベースのニッキー・ワイアーの病気のためマニック・ストリート・プリーチャーズの出演がキャンセルとなってしまったことのお詫びがあった。本人たちも相当楽しみにしていたようで、本当に残念で仕方がない。しかし、祭りのスタートを飾るカウントダウンで一気に祝祭ムードへ。いよいよスタートだ。

1.OGRE YOU ASSHOLE
本日の1番手はOGRE YOU ASSHOLEが登場。横浜アリーナというだだっ広い場所、しかも、横長に広がる空間だからか、難なくオウガの独特な浮遊感溢れるサウンドがじわじわと広がっていく。“コインランドリー”が生み出す縦ノリのグルーヴで始まり、そのまま、重低音の効いた深みのある“JN”へと流れた頃にはすでに彼らのマジカルな音の世界へと会場を誘っていった。狭いライブハウスで聴くオウガもいいし、野外で聴くオウガもいい、で、こういう広大な場所で聴くオウガももちろん、いい。そう考えるとオウガの音って凄いと思う。どんな場所でもそこに居合わせた人々を魅了して、確実に自分たちの世界へと引き込んでしまうのだから。しかも、本人たちが獲物を目がけて狙っているという感じが全くしなくて、本当に自然体だし。ちなみに、MCではいつもユルユルな出戸ですが、今日は「一つのバンドが主催するフェスっていうのは一つの夢だと思う。僕らもそういう夢を実現したい」と、いつもよりちょっと積極的で貪欲な感じが良かったです。

2.清竜人
続いて登場したのは清竜人。メインステージの地続きで向かって左側にあるステージで、まずはメジャー・デビュー曲“Morning Sun”を静かにギター弾き語りで披露。聴く者を柔らかく包み込むようなボーカルがとても優しい。会場も耳を澄ませてじっと聴いている。でも、優しいだけじゃない、心を強く掴んで離さない何か途轍もない説得力がある。“あなたにだけは”の《例えば僕が虫に変えられても/それでも あなたに歌う》という歌詞が頭から離れずにいつまでも記憶に残る歌だ。そして、ピアノでの弾き語りも2曲披露し、流麗なメロディーと透明感溢れる歌声で会場からは大喝采を浴びた。すると突然「はじめまして。清竜人です・・・」と話し始めたので、MCをするのかと思いきや、「今のが最後の曲なんですけど」と言い、会場の笑いを誘った。最後の曲終わりに、はじめましての挨拶をして帰っていった人はちょっと初めてかも。面白かったです。

3.NADA SURF
そして、今回が初来日となるUSの3ピース・バンド、NADA SURFが登場。後にゴッチが「NADA SURFのベースはマキシマム ザ 亮君じゃないですよ(笑)」と言っていたが、ベースのダニエルはブロンドヘアのドレッドで確かに亮君みたい。初っ端からパワー・ポップ全開のナンバーでエネルギッシュに会場を圧倒していく。ギター・ボーカルのマシューが1曲1曲、曲解説を入れてくれて、曲に合わせた盛り上がり方をオーディエンスに教えてくれたことも功を奏して、会場は踊ったり、歌ったりで大盛況! 初来日のステージは大成功だった。

4.HARD-FI
続いて、UKからHARD-FIが登場。エモーショナルなダンス・ビートとディスコ・ロックで、いきなりオーディエンスを煽り、熱を上げていく。リチャードはできるだけ近くにオーディエンスを感じようとギリギリまで前へ出て行き、縦横無尽に歌い踊った。オーディエンスもその熱を受け取って一緒になって手拍子や大歓声で応戦! 待望の3rdアルバムが2010年に発売予定とのことで途中新曲なども挟みつつ、ラストまで良い雰囲気の中、白熱のライブを繰り広げてくれた。ステージの広さは4人にはちょっと狭いかなと感じたけど、逆にアンダーグラウンドの怪しげな不法集会みたいな一体感もあっていいライブでした。

5.BEN FOLDS
そして、BEN FOLDS。ベースとドラムを引き連れて、1曲目スタートさせたのだが、なぜか観客に背中を向けて、しかも通常ならボーカルの立ち位置である中央でイスに座ってタンバリンを叩いているだけという謎のタンバリンマンがいて1曲だけで去ってしまうという不思議な編成からスタート。BENは、椅子があるのに、ほぼ跨った状態で立ちの姿勢で(アキレス腱が良く伸びそう・・・)全身を使いながらまるで打楽器を叩くかのような勢いでピアノを操っていく。ラストにはグランドピアノの上にのぼって指揮者に扮し、オーディエンスにコーラスを求めて、会場中に大合唱の嵐を沸き起こらせた。その姿こそ、まさにピアノ・ロックのエンターテイナー。圧巻だ。(ここまで阿部英理子)

6.the HIATUS
そういえば、去年はELLEGARDENでの出演だったんだなあ、もう活動休止を発表したあとだったから、横浜アリーナ全体が「一瞬たりとも見逃すまい」みたいな、異様なムードに包まれてたなあ……と、登場を待ちながら、色々思い出したりしていたが、“Ghost In The Rain”でライブがスタートした瞬間に、そんな感傷は消し飛んでしまった。
すんごいテンション。細美、「NANO-MUGENはじめまして。こんばんは、the HIATUSといいます」という簡潔な挨拶だけをはさんで、“Centipede”“Silver Bitch”と矢継ぎ早に曲を連打していく。今日はドラム柏倉隆史、キーボード伊澤一葉の布陣。メンバーみんな、調子づいてがんがん攻めている時の格闘家のような、「楽しそう」と「気合い入りすぎで怖い」が入り混じったみたいな顔つきでプレイに没頭している。にしても、前にジャパン・サーキット出演の時(5月30日)にもここで書いたが、凄腕のメンバーが集まっているにもかかわらず、いや「かかわらず」じゃなくて「だからこそ」かもしれないが、「作り上げよう」とか「まとまろう」とは逆の方向にテンションが向いている、つまりどんどん自由に野放図に解き放たれながら、どこまでもつっぱしっていく感じなのが面白い。
うわあ。あっという間だなあこれ。と思ったら、細美もそうだったようで、「やっと横浜アリーナ楽しくなってきたと思ったら、もうあと2曲しかない」というひとことをはさんで、“紺碧の夜に”“Twisted Maple Trees”でライブ終了。なお、21日(火)&22日(水)、新木場スタジオコーストでツアー・ファイナルです。

7.THE YOUNG PUNX!
の前に、ゴッチ&喜多が登場。残念ながらキャンセルになってしまったマニック・ストリート・プリーチャーズが、どういうバンドであるかという解説をした上で、あと99年の来日公演を喜多&山田で観に行った思い出話をはさんだ上で(渋谷O-EASTだったそうです。チケットは山ちゃんがとってくれたそうです)、「ライブDVDを借りることができたんで」と、マニックスのライブ映像を3曲、みんなで観ました。

で。THE YOUNG PUNX!。このフェスへの出演は2006年、2008年に続いて3回目だけど、出る度にどんどん「下世話&きらびやか&ポップ」な方向にどんどんシフトアップしていて、その結果今年はもう、ものすごい大ウケ&大盛り上がりだった。「毎回おなじみだから」というのもあるだろうけど、明らかにそれだけじゃない、一見さんも瞬時に巻き込むような、華やかさとわかりやすさとサービス精神に満ちた、だからすんげえ面白くて楽しいパフォーマンス。偉い。続きは明日。

8.ASIAN KUNG-FU GENERATION
そうなのだ。アジカン、トリじゃないのだ。入場時にタイムテーブルを見て、まずびっくりしたのが、この事実でした。毎年必ず何か新しいトライをするなあ。意表をつかれました。
内容に関しては、明日もあるのであんまり詳細書かないでおきますが、思わず私のブログでも書いてしまった、ゴッチのこのMCには触れておきたい。

「ほんとにねえ、感動してるんですよ。終始、雰囲気がよくて」

「……勝手に感極まってますけど。こういうフェスに、したかったんで……」

と、ほとんど泣きそうになってました。「マニックスが出れなくなったのは、結構ショックで。ほんとに直前だったんで」という話もしていました。そういうでかいトラブルに直前で見舞われてしまったにもかかわらず、すべてのアクトに正面から向き合って全開で楽しむオーディエンスのおかげで、すごくいい空気感のフェスになって、それで感極まってしまったようでした。
確かに、頭っから最後まで、すごくいいムードだった。2005年に初めてここ横浜アリーナで開催された時とは、もうまったく別のフェスになったと思う。って、実は去年も思ったんだけど。詳しくは、2008年7月20日の、この最速ライブレポートに書いているので、詳しくはそちらを。

で、ライブも最高でした。今日は全体に、なんだかちょっとワイルドめで荒々しくて、勢いまかせで、そこがやたらかっこいいアジカンだったような気がする。
最後、「1バンドなくなったんで、我々、時間を増やしました。ここからが、増やした分です」と2曲やって、さらにフロアを歓喜で包んで。ステージを降りたアジカンでした。明日に続く。

9.ストレイテナー
というわけで。アジカン以外で唯一の当フェス皆勤賞バンド=ストレイテナー、アジカン主催のフェスにもかかわらず、まさかのトリ。
ホリエのMCによると、去年の出演が終わった時、「ストレイテナー、毎年出てるから『今年はいいよ』って言いづらくなってるんじゃない?」とゴッチに言ったところ、「いやいや、来年はトリをやってもらうから」と言われたと。「冗談だと思ってたら、こうして、本当にトリをとらされました」だそうです。そういえば、去年のこのフェスの頃は、まだ3人でしたね。
ライブはもう鉄壁。代表曲を連発してフロアをアゲまくった後、「新曲やります」と8月5日リリースのシングルの“CLONE”と“DONKEY BOOGIE DODO”を続けて披露。前者は、キラキラ感とカオス感が渾然一体となったみたいな美しい曲で、後者はファンキーなミドル・チューン。ストレイテナーの中では、かなり異色で面白い。
ラストを“クラッシュ”でしめくくり、メンバー全員で前へ出てきて挨拶したので「ああ、これはアンコールないな」と思ったんだけど、意外なことに、あり。しかもアジカンと共に再登場。
ゴッチがサンプラー&ヴォーカルで加わって、出た! “Killer Tune〔Natural Born Killer Tune Remix〕”。1コーラス目はホリエが歌い、2コーラス目はゴッチが担当。ゴッチの声による「イェイイェー!!」(サビね)を聴ける、という貴重な体験をさせてもらいました。オーディエンスの上をいくつもの巨大風船が転げ回り、みんなどこまでもどこまでもアガり放題アガっていく、という、とても幸せな光景が、最後に広がった。

明日の2日目に続きます。明日も、阿部と兵庫でレポートします。(兵庫慎司)
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