シェリル・クロウ @ JCBホール

シェリル・クロウ @ JCBホール - シェリル・クロウシェリル・クロウ
今年1月に2年振りのニュー・アルバム『ディトアーズ』をリリースしたシェリル・クロウ。7月には全米ツアーを開始し、ここ日本にも約6年振りとなる来日を果たしてくれた。気づけばデビュー・アルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』はなんと15年前! 今夜のJCBホールにはリアルタイムで彼女を追い続けてきた往年のファンがたくさん集結していた。

1曲目はシェリルが一人だけで現れ、最新アルバムのオープニング曲でもある“ゴッド・ブレス・ディス・メス”をアコースティック・ギターのみで歌い上げる。アルトで伸びのある彼女の歌声がホール全体を優しく包みこんでいったが、2曲目の“シャイン・オーヴァー・バビロン”でギター2名、ベース、ドラム、パーカッション、キーボードに女性コーラス2名という総勢8人のバンド・メンバーが登場! ステージは一気にロック色が強まり、続く“ラヴ・イズ・フリー”では「元気ですか」と短く言った後に、明るい笑顔で観客に手拍子を求めるシェリル。

今夜はMCもほとんどなく、2年前に患った乳がんのことも途中で「もう大丈夫よ」とさらっと語るだけ。女性シンガーソングライターとして、メッセージ性のある歌を歌ってきた彼女だけあって、今の私は目の前で歌う姿を観ればわかるでしょってことだろう。確かにこった演出や派手なステージセットなどなくて、ギター1本でも観客を魅せることのできる楽曲を作ってきたと思う。それはグラミー賞9回受賞っていう経歴だけでなくて、今日聴いた曲たちの多くのメロディが「あぁそう、この曲!」って歌えてしまうこと自体に、彼女のソングライターとしての突出した魅力と能力が物語られていた。

今聴いてもまったく色あせない“ア・チェンジ”“ラン・ベイビー・ラン”や“イフ・イット・メイクス・ユー・ハッピー”などの曲ではやはり会場全体が待ってましたと言わんばかりの熱気に包まれていた。そして、アンコールでの“オール・アイ・ウォナ・ドゥ”のときには、白いうさぎの耳を頭につけた彼女。何事かと思いきや、バンド・メンバーもいつの間にかトナカイの角やサンタの帽子を被っているという可愛い演出も! 一足早いクリスマス・プレゼント!? どうやら今夜がこのバンドでのほんとのラスト・ライブということで、バンドに感謝の気持ちを述べるだけでなく、ローディやPAやカメラマンの名前も紹介して労をねぎらうシェリル。その裏方の人たちまでもが同じような可愛いカチューシャをつけてました! 本当にいいツアーを行ってきたんだなと実感した一幕でもあり、シェリル・クロウの歌手としての力量だけでなく、人柄の良さも心から感じられる良い一晩だった。(石井彩子)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on