最新作となる3rdミニアルバム『MAGIC×MAGIC』は、新しいサウンド、新しい歌詞のアプローチが満載の作品だ。TVアニメ『うしろの正面カムイさん』オープニングテーマ“成仏Come true”、松屋フーズ創業60周年オリジナルブランディングソング “貴方をまつやさしい場所”といったタイアップソングは、自由な発想力と粋な言語センスが存分に発揮されている。今作の制作エピソード、各曲に込めた想い、柔軟な創作の源にある信条について、4人が語ってくれた。
インタビュー=田中大 撮影=是永日和
──資料によると結成は2019年9月で、東京世田谷の大学のサークルだったんですね。今までは「一枚を完成させる」が目標になってたけど、今回は「自分たちにないピース」、「新しい挑戦」、「新しい音」を増やすことを目標にしていた
ヨシキ(Vo・G) 大学の音楽サークルで京哉、こーてぃんがもともとバンドを組んでいたんです。
京哉(G) 僕とこーてぃんは同じ高校で、おとやんは同じ高校のひとつ上の先輩。ヨシキだけ全然関係なくて。
こーてぃん(Dr) ひとりだけ友情が薄いです(笑)。
ヨシキ でも、大会で出会ったことあったでしょ?(笑)。
こーてぃん 出会っただけね。
京哉 よく知らなかったです。
おとやん(B) という感じの4人です(笑)。
──(笑)。どういう音楽性を目指してORCALANDを始動したんですか?
ヨシキ 当時、コピバンサークルでいろんなバンドの曲をやっていたんです。Rhythmic Toy World、9mm Parabellum Bullet、cinema staffをコピーしたこともありました。そういうことを経ていたので、「自分たちのやりたいバンドの方向性は、コピーしてきたものにあるのでは?」という感じで始まりましたね。
──過去作品のリリースを見ると、1st EPが『とりあえず-EP』で、それ以降が『あわよくば-EP』、『がけっぷち-EP』、『それならば-EP』、『ぶちあげる-EP』、『だきしめる-EP』。初期は恐る恐るで、5th『ぶちあげる-EP』から調子に乗り始めたという印象なのですが(笑)。
ヨシキ バレてる(笑)。1stは「EPをとりあえず出そう」というところからそのタイトル(『とりあえず-EP』)で、以降はその時のバンドの状況でタイトルが決まっていきました。2nd(『あわよくば-EP』)の時は「あわよくば、これで売れてくれないかな?」と。
京哉 でも、鳴かず飛ばずだったので3rdで「がけっぷち」。
おとやん 「がけっぷち」も売れなかったので「それならば」。
京哉 そのあと、聴いてくれる人が増えたので「ぶちあげる」、そして「だきしめる」になりました。こーてぃんに描いてもらったジャケットの絵柄が、かっこいいタイトルをつける感じじゃなかったというのもあるんですけど。
こーてぃん 『(週刊少年)ジャンプ』みたいな絵を描きたいんですけど、『コロコロコミック』のような絵しか描けなくて。
ヨシキ でも、もともとかっこつけるよりは、面白いこと、楽しいことのほうが好きなバンドなのかもしれないです。
──スポーツ系のタイアップに起用されることも多かったですよね。
ヨシキ スポーツ系にハマるバンドだったのかもしれないです。「我々はこういう曲をやれますよ」という資料のデモをお渡しすると、先方のイメージに合ってたみたいで。
──スポーツの曲は、エネルギッシュで前向きなものが合うと思うので、それが自然と形成されていたORCALANDの方向性なのかもしれないですね。
ヨシキ なるほど。確かにそうなってきているのかもしれない。
──活動を重ねる中でバンドとして音楽性が固まってきて、今作『MAGIC×MAGIC』は、3枚目のミニアルバム。どういう作品にしたいと思っていました?
ヨシキ 今までは「一枚を完成させる」が目標になっていたんですけど、今回は作っていく中で「自分たちにないピース」、「新しい挑戦」、「新しい音」を増やすことを目標にしていたのかなと思います。たとえば“スラップ・マジシャン”は、今までにはなかったシンセがたくさん入ったサウンドですし、“成仏Come true”は「今できる最大限」を目指しました。ブラスが入った“貴方をまつやさしい場所”も、新しい感じですね。
おとやん 全体的にそうだよね?
ヨシキ うん。「もっとライブに幅を出せるように」というのも意識しました。だからどれもキャラ立ちしていると思います。『MAGIC×MAGIC』というタイトルですけど、我々が「魔法」として音楽を鳴らして、その「魔法」を受け取ったお客さんの熱量も掛け合わされることで7曲がさらによくなって完成する、ということですね。
──“スラップ・マジシャン”は、ベースのスラップをフィーチャーしていますが、どういう経緯でこの切り口になったんですか?「言ってることはわかるけどバカっぽい言葉」を、常に探して生きています。ORCALANDのいちばんのアイデンティティでもある気がする
ヨシキ 我々の曲の中でいちばん聴いてもらえた“テレキャスター・ヒーロー”は、京哉をフィーチャーしているんです。そこからの流れというか、「そういう感じの曲が他にもあってもいいんじゃないか?」と。
おとやん 各々の楽器や人をフィーチャーするっていうね?
ヨシキ うん。そういうことを考えてたら、マネージャーが「“スラップ・マジシャン”って、いいんじゃない?」って言ってくれて、今の形になりました。感覚としては、大喜利から始めて完成に至ったという感じですね。僕らはタイトルが面白いかどうかを重視しているところもあるので、「“スラップ・マジシャン”という面白いタイトルに、いかにして楽曲が近づいていくか?」を意識しました。
──楽器の手癖で作曲をすると作風が定型化していくところがありますから、タイトル先行で作るのは有効な手法なのかもしれないです。
ヨシキ そうですね。これはタイトルからめちゃくちゃ広がりました。
おとやん 実際、めちゃくちゃスラップもしました。タイトルが決まっちゃっていたので、「俺、マジシャンになるんだ?」ってマジでいろいろ詰め込みましたね。ライブでやり始めた頃は不安だったんですけど、今は板についてきました。久々に会った友だちに「あっ、マジシャン!」って言われるくらいなので、マジシャンになってきてるらしいです(笑)。
──今後、こーてぃんさんをフィーチャーした曲も作るんですか?
ヨシキ まあ、そういうことにはなっています。
こーてぃん これで俺の曲なかったら悲しいもん。「次はこーてぃんさんの曲ですか?」ってお客さんに言われても、「わかんないです」って言うしかないのが続いてる(笑)。
──“ハイハット・デストロイヤー”とか?
ヨシキ それ、めっちゃいいですね(笑)。
おとやん ハイハット壊す人、なかなかいないけどな。
こーてぃん 俺、壊しまくってるよ。
ヨシキ こーてぃん、もともと物を壊しがちだからね。