【インタビュー】LANA、リアルなまま輝ける新しい世代のプリンセス! ついに姿を現した1stアルバム『20』が完成するまでの、苦悩と成長を語る

【インタビュー】LANA、リアルなまま輝ける新しい世代のプリンセス! ついに姿を現した1stアルバム『20』が完成するまでの、苦悩と成長を語る

ポップスターになるってめちゃくちゃ思ってる。他の人たちと同じことをやるつもりはなくて、つまり新しいポップスターになればいいじゃんって(笑)

──LANAさんのアイデンティティはまだ流動的で、様々な経験を通じて少しずつ変わり続けている最中なんでしょうね。たぶん、そういった変化が作品にも反映されているんだと思います。

特にアルバムの前半は、直近のリアルな私だと思います。本当に嘘のない最近の私を歌ってる。

──今回は最初に作られたという“HATE ME”がアルバムに入ってますけど、もともとLANAさんって最初はダークな曲を作られていたじゃないですか。だから、別にすごく変わったというわけではなくて、あの頃の雰囲気がまた出てきたっていうほうが正しいんですよね。

そうなんですよ! サンクラ(SoundCloud)の時から病みまみれの女の子っていうので始まっていて、そこから、頑張ろうよってポップな曲を作り始めた。そのどちらも両立させたい。

──LANAさんの曲って、現実と作品の境目がないじゃないですか。たとえばテイラー・スウィフトをはじめとして近年のポップスターはそういうスタイルで曲を作っている人が多いですけど、まさにそういったドキュメンタリー的なところがあると思うんです。恋愛の話が歌詞にもインスタにも出てきて、どっちがどっちだったっけ……みたいな(笑)。それって嘘がないということだし、それはそれで全部さらけ出すという意味で大変なことですよね。

本当にそうで、全部出してるからなぁ……そこにヒップホップを感じるというのはあります。

──逆に、空想やファンタジーから曲を作ることはないですか?

それでいうと、今回のアルバムに入ってる“it’s okay”という曲はそういうアプローチで作りましたね。夏になると脚が生えてきて陸に上がってくる男の子がいて——私は男の子が好きなので一応男の子ということにしますけど――恋に落ちるんですけど、夏の終わりには脚がなくなって海に帰らないといけなくなるっていう謎の物語なんですよ。それで次の年にまた女の子が迎えに行くんですけど、相手の記憶がないんです。だから、初めての気持ちで何度も恋をするっていう曲。そのくらいかな、空想で作った曲は。

──違うアプローチをしてみようと思って作った?

いや、思いつき人間なので特に考えてはなくって、人魚について書いてみようと思って(笑)。普段は、昨日あったことをすぐに今日のレコーディングに入れたりもします。

──たとえば“99”で《大人にはわからないでしょ?》と歌っていたり、当時のLANAさんだから書けたような歌詞も少しずつ出てきてると思うんです。過去の曲を振り返って、今の自分と少しギャップを感じることもあるんじゃないでしょうか。

あるからこそ、今はその気持ちを若い子たちに伝えるために歌っています。当時の気持ち、大人になりたくないという感情を思い出しながらというか。


──LANAさんって、嘘はつかないしリアルだし、すごく地に足の着いた人じゃないですか。そういうLANAさんの中で、たとえばポップスターになることってどのように捉えてるんですか?

ポップスターになるってめちゃくちゃ思ってるし、私はあるものとあるものを組み合わせてないものを作ることが好きなので、他の人たちと同じことをやるつもりはなくて、つまり新しいポップスターになればいいじゃんって思ってる(笑)。それに、安心してずっと見ていられるマナーのいいアーティストになりたいってわけでもない。そこを変えずに、どこまで行けるんだろうっていうのはありますね。

──ロールモデルがいないですよね。新しい道を切り拓くから。

うん。でもいけると思う。

ポジティブだけの人って、一緒にいて疲れちゃう気がする。ネガティブがあってポジティブもある人が、一緒にいて癒されたり人間味があったりするし。そういう想いが、たくさん詰まってるアルバムです

──あと今回のアルバムを聴いていて、フックがすごく耳に残るなと改めて思いました。一度聴いたら忘れられないトップラインが多いですけど、その部分はLANAさんが作ってるんですよね?

そうですね。でも、何も考えてない。何も参考にしてないし、マジで何も考えてないです(笑)。送られてきたトラックを(チームの)皆で聴いて、その場でなんか思いついたかも!って歌ったのをそのまま次の日にレコーディングしたり。そういう感じ。

──プライベートでは普段どんな音楽を聴いているんですか?

いや~それが、LANAをやってるのに最近は全然違うのばかり聴いてて。というか、ピアノ聴いてます。“River Flows In You”を繰り返し聴いてる。あと友達の歌とか、平成のギャルソングとか。常日頃からたくさん聴いちゃうと、自分が作る時にそれとごっちゃになっちゃうんですよ。それでも、いつも見てるTikTokとかから無意識に音楽は耳に入ってて反映されてる気はしますね。

──今回のアルバムがまさにそうですけど、LANAさんの音楽って多彩なジャンル、ビートが次から次に出てきて面白くて飽きない。そういった雑多性はどうやって作られてるんでしょうか。

何かとLANAを組み合わせるっていうパターンが多いです。ジャージークラブ×LANA、バイレファンキ×LANAとか。あと、自分は音色(おんしょく)を聴いて作ってます。使ってる楽器の種類まではわからないけど、これは甘いな、酸っぱいな、トゲトゲしてるな、とかを感じて作りますね。

──最初に“HATE ME”を作った頃のLANAさんが、今このアルバムを聴いたらなんて言うと思いますか?

何これ?って言うと思う。……でも、その中でもダークな曲たちは、寝る前とかに聴いてたかもね。

──なんだか、一周回った感じがしますね。

うん、なんかね。言われてみたらそんな気がする。

──じゃあ逆に、今のLANAさんが、“HATE ME”と近い境遇にいる若いファンの方たちに声をかけるとしたらどんなメッセージを伝えますか?

そのままでいていいと思う、って言うかな。自分は、あの時苦しい思いをしたから今優しい人間になれてる気がするし、今を大切にしてほしいと思う。きっかけやタイミング次第で人間は絶対に回復するので、今のその気持ちを自分で分析してほしい。なんで自分はこう思うのかって。他人にそういうのをシェアすると、悲劇のヒロインかって笑われるかもしれないけど、それでいいと思う。自分をどれだけドラマの主役にできるかが大事で、そうすることでいつかめちゃくちゃ意味のあるものになってると思う。私は音楽をやってるけど、自分の気持ちを周りに届けて共感を生むのって別に音楽だけじゃない。他の職業でもたくさんあるはず。ただ、病んだまま終わりにはしてほしくないですね。ちゃんと意味のあるものにしてほしいなって思う。結局、悩みはずっとつきないし。それに、ポジティブだけの人って、一緒にいて疲れちゃう気がする。ネガティブがあってポジティブもある人が、一緒にいて癒されたり人間味があったりするし。そういう想いが、たくさん詰まってるアルバムです。

ヘア&メイク=Mari Enda スタイリング=菅沼愛 
衣装協力=Maison MIHARA YASUHIRO(Maison MIHARA YASUHIRO TOKYO ☎03-5770-3291)、AKOYA(DOMICILE TOKYO ☎03-6447-1068)、YELLO (☎03-6804-8415)

このインタビューは、11月29日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号にも掲載!


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