──“JAPPARAPAN~”は、実は歌詞に平和を願うメッセージが込められていて。『どれか1曲を放送します』みたいな時に、選ぶのが難しい(影丸)
命 平和ソングです。最終的によくわかんないですけど(笑)。
──明るい中にグッとくるポイントがあるというバランス感は、『最高』で掴んだものという気がします。続く“天(ama)”は戦争を憂う曲なわけで、同じように社会に訴えかけながらこの振れ幅はなかなか出せないですよ。
命 確かに。テーマは同じですからね。
──“天(ama)”は命様の歌唱力を存分に浴びるバラードで。
命 キーの高さがなんとも言えない高さで。高すぎても低すぎてもパンチがないし、この高さじゃないとこの雄叫び感が出ないんですけど、難しい!
龍矢 ロックバラードというくくりでいうと他にもありますけど、歌唱力がここまでドンとくる曲はなかったので。もう禊でやっていて、特にフェスとか広い屋外の会場だと、より響きが感じられる曲ですね。
影丸 この曲はエモーショナルかつ、わりと冷静に叩かないといけないんですよ。演奏的にも、曲の意味合い的にも気が引き締まります。
龍矢 一音一音がより大事という。
影丸 そう。そこに命様の声が乗ると、ジグザグの世界ができあがる。
命 まあ、僕らの見た目に合ってるというか、見た目の印象を裏切らない曲ですよね。こういう曲を歌ってそうじゃないですか。
──言われてみるとそうですね。
命 お客さんの中には、こういう見た目の世界観だったり、真面目な曲が好きっていう人ももちろんいるし。逆にこんな見た目なのに“JAPPARAPAN~”とか“バリネギ~”とかやっちゃうのが好きな人も、その両方やっちゃうのが好きっていう人もいて、それぞれなんですよ。
──そのすべてがこのEPに入っていると。
命 そう。これを聴けばジグザグがわかる1枚になってます。
影丸 でも、「どれか1曲放送します」みたいな時に、選ぶのが難しいんです。
命 ああ、それがジグザグのいちばんの悩みです(笑)。永遠に決められない。
──全部聴いてくださいとしか言いようがないですけど、あえてバラバラにしたというより、結果的にこういう5曲になったわけですよね。
命 全然狙ってないです。バラバラモードになってるのか、同じような曲が続くと「どっちかだけでよくない?」ってなっちゃうんですよ。パン屋さんに来て、アンパンしかなかったらつまらんくね?って。いろんなバージョンのアンパン食べるくらいなら、カレーパン食いてえんだけどって。そういう心境ですね。困ることはあるけど、それがらしさだろうなと思います。
龍矢 今までの音源も、毎回聴いたら衝撃を受ける作品を作ってきて、今回もまさにそうで。それがジグザグの武器なんですよね。今回の5曲で「ジグザグってこんなバンド」ということがわかるし、今までのジグザグを好きで聴いてくれている人たちも、衝撃を受けながら楽しんでもらえる音源になったんじゃないかなと思います。
影丸 今時、曲順通りに聴く人は少ないかもしれないですけど、今回のEPこそ、1枚のCDとしての聴き方をしてほしいなと思います。「まずこの曲を聴いて」っていう曲が本当にないので、全部聴いてほしいです。
──幅が広いのは昔からなんですけど、それだけじゃなく、ジグザグはちゃんとすべてのジャンルに尖っていることをより実感したんですよね。丸くなってねえぞっていう。
命 すごく尖ってますね。どの曲も、精神的な意味でのパンクな要素が入っていると思います。
──今作をひっさげて再び全国ホールツアーが始まります。ファイナルは横浜アリーナですが、横浜アリーナが決まった時はどうでした?ライブで壁を作ってはいけないっていうのが、ずっと僕らの中のポリシー(命)
命 素晴らしいことですし、嬉しいんですけど……僕の中ではもう武道館で完結しちゃってるんで、その上は特に目指してないというか。大きいところでやることを目標にするんじゃなく、いい楽曲といいパフォーマンスを更新していきたい。自分でも「ジグザグ、こんなとこまで行くん!?」って思うし、正直今でもリアリティがないんですよ。どこまで行くんだろう、これでいいんだろうか、みたいな不安もなくはない。でも、せっかくならこの規模の会場でしかできないことを思いっきりやりたいですよね。
──昨年のツアーは悔しい思いもしたということでしたが、ホールライブ自体のコツは掴みました?
命 そう思ってたんですけど、ホールクラスとアリーナクラスでまたちょっと違うということに最近気づきました。僕のMCは、フォークスタイルというか、漫談みたいに喋る感じなんですよ。お客さんもそれを楽しんでくれていたと思うんですけど、アリーナでそういうスピードで喋ると反響で聞こえにくいらしくて。改めて、アリーナクラスでやっている他のバンドのライブを観た時、トークじゃなくてスピーチをしてるんだなと思ったんです。僕はこの期に及んでトークのキャッチボールをしようとしてたから(笑)。
──確かに(笑)。
命 怖いのは、MCが聞き取れてる人と聞き取れていない人の間に温度差が生まれて、壁ができちゃうことなんですよね。壁を作ってはいけないっていうのがずっと僕らの中のポリシーだったのに、まさかMCで壁ができちゃうとはって。横浜アリーナをやる前に気づけてよかったです。だから、次のホールツアーと横浜アリーナでは、すっごい聞きやすいボーカリストになってるはずです。誰も聞き逃さないMCをします!
影丸 僕も演説します!
龍矢 ……僕らが足を引っ張るかもしれない。
命 わははは!
ヘア&メイク=福田佳緒理 スタイリング=高見佳明
このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号に掲載!
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