ポスト・パンク・リヴァイヴァルの決定打となった1st、アメリカン・ロック的ヘヴィネスにリーチした2nd、アート志向を押し進めた3rdを経て、それらのすべてを内包しながら前進を見せる4th。先行公開されたタイトル・トラックにもいえることだが、「何かと不景気で、無責任なポップ音楽ばかり流れる世の中だし、コントロール不可能な社会に秩序を取り戻したかった」というポール・スミスの言葉にはエネルギッシュな決意表明が見える。デビュー10年を超えても原動力を失わないところはじつに頼もしい。しかしながら、オープニング曲では「アーティストは血を流してでも新境地を求めないといけないのか」という疑問が早々に投げかけられるという辛辣さも。初っ端から自分へのハードルを上げるところはなんともマキシモ・パークらしいが、“ジ・アンダーカレンツ”や“リラクタント・ラヴ”のような、同じキャッチーでも、情緒的で円熟の域に達したメロディラインなど、中盤にいくほど味わいが深くなり、よくデザインされたアルバムであると感じる。それにしても、00年代半ばに産声を上げたUKロックの異端児達は息が長い。(羽鳥麻美)