60sポップス風サウンド、ブラスとシンセが踊り回るトロピカル・ソウル(?)、アダルトなピアノ・ジャズに歪んだギターが飛び交うサイケデリック・ロック……と多彩な音像をカジュアルにぶちまけた音楽世界であると同時に、ブライアン・ウィルソンの痺れるような甘美さとフランク・ザッパの悪戯っぽい冒険心とを併せ持ったようなグリフの類稀なるソングライター/サウンドデザイナーとしての資質が見え隠れする、4年ぶりソロ3作目。ホテルのシャンプー・ボトル収集癖をそのままアルバム・タイトルに冠した今作はそのまま、いろんなホテル(音楽ジャンル)から最もスウィートな薫りを放つ極彩色のシャンプー(エッセンス)を受け取りつつ、それらを1mmの誤差もなく己の空間に配置することで唯一無二のリラクゼーションとサプライズを実現する「ホテル・グリフ」を構築してしまう――という彼の音楽的キャラクターを見事に言い当てている。スーファリをやりネオン・ネオンをやりながらソロ作もコンスタントに発表しながら無限の音楽サイクルを描き続けるグリフの快活なバイタリティに誰もが脱帽するしかない、そんな1枚。(高橋智樹)