ノラ・ジョーンズがこれまでコラボしたミュージシャンとの「共作」を集めたコンピだが、内容がなかなかすごい。オリジナルが収録されているアルバムは多岐に亙り、ノラが自身の作品で共演した曲もあれば、相手のミュージシャンがノラをフィーチャーした曲もあり、百花繚乱のB面エキストラ盤の趣。Q-ティップやタリブ・クウェリらのラッパーとのコラボは、彼らの文脈にノラが取り込まれた形になっていて、CD全体の中でも特異な雰囲気を放っているが、それでも相手に呑まれないシンガーとしての強靭なDNAを感じる。ノラというのは水のような存在で、どんな形にもなるが、いつでもノラ自身であることを奪われないのだ。
それにしても大御所レイ・チャールズ、ドリー・パートン、ウィリー・ネルソン、ハービー・ハンコック、フー・ファイターズを筆頭に、ベルセバもライアン・アダムスも、みんながノラに夢中になってきた過去10年間のポップ・シーンってなかなかすごい。レディー・ガガの反対の極で、この人はこの人の過激さをキープしているのかも。カントリーの予定調和を覆した、「予測不可能」な遊びの精神が横溢。(小田島久恵)
コラボほど素敵な遊びはない?
ノラ・ジョーンズ『ノラ・ジョーンズの自由時間』
2010年11月03日発売
2010年11月03日発売
ALBUM