「エレクトロ」を終わらせる作品

ザ・シューズ『スキャンダル』
2009年11月04日発売
ALBUM
ザ・シューズ スキャンダル
今年のフジでも、あるいは昨年のサマソニでも、ザ・シューズのステージの圧倒的な取っ付きやすさは異常だった。ベタに徹し、「トンガったことをやろう」という気持ちが一切ないのだ。BUZZでインタビューしたとき、好きなバンドとしてギョームはホラーズ、ベンはオブ・モントリオールの名前を挙げていた。ふたりの方向性の乖離っぷりも甚だしいが、そのざっくりとした「ポップ」志向こそがザ・シューズ。逆にいえば、ポップでさえあれば何でもOKなのだ。さすがにユニコーンのリミックス・アルバムに名を連ねているのを知ったときはビビったが。

待望の(1年待ったよ)フル・アルバムは、意表をつくヒップホップ・ナンバー“サクセス”で始まり、レゲエの“ベイビー・ベイビー”あり、80sなディスコ・ポップの“クラック・マイ・ボーンズ”あり、ビョークみたいな女性ボーカル・ソング“7 AM”あり、ともはやエレクトロとか言っている場合ではないバラエティ感。もちろん“ノック・アウト”も収録されているが、アルバムの最後のオマケといった感じで、もはや彼らの興味はその先にあるのではないかと思う。(小川智宏)
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