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トンボコープのメジャーデビューアルバムはなんと全19曲。一般的なワンマンライブ1本分にも相当する曲数だ。細部にまでこだわりの詰まったスタジオ盤でありながら、まさに彼らのライブを体験するような作品となった。タイトル曲である1曲目は期待感を煽るオーバーチュアで、続く“アイデンティティ”はさながらステージとフロアが一体となる誇らしげなライブの幕開け。その後も“HEART BEAT”ではシンガロング、“MUNSELL”ではコール&レスポンス、“喜怒哀楽”ではハンドクラップと、そのイメージがさらに色濃くなっていく。《今が最高じゃん》と歌う“Now is the best!!!”はライブのクライマックスのように響き、ラス前にインタールード的に入る“VISION”からのラスト曲“始まりの合図”は、アンコールから大団円へと向かう会場の空気を感じさせる。《君じゃないといけない理由がそこにあるよ》という歌詞などまさにファンダムに向けた歌。バンドの衝動を刻み込んだ1枚目として、この作品のあり方は美しい。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)
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