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独特のワードセンスとキャッチーなギターロック、そしてたかはし(Vo・G)の心の奥から絞り出したような、力強くも儚さを纏う歌声が、きゅっと胸を締めつける。フェスへの出演、9月からのツアーではZepp Shinjuku公演も決定し、35.7はその歩みを一歩ずつ確かなものにしている。バンドのスケールは大きくなっていくけれど、今作『火星探索』でも、変わらずに聴く人の心をじんわりと温めてくれる。一緒に拳を上げて並走するような力強さと、切なくも静かに寄り添ってくれるような優しさが混在するサウンド。そして、《気まぐれな私を見透かして/私に今までのこと着せないで》(“百年公約”)、《ねえ君の寝息に合わせて眠る私に/君は退屈する?/否定してすぐ、抱きしめてちょうだいね》(“最果て”)といった、あなたのことをわかりたい、わかってほしいという普遍的な揺れる想いを肯定してくれる詞。自分を重ね合わせて感じる切なさだけでなく、突き放さない温かさを持つ音楽で、35.7は私たちに寄り添い、優しく背中を支えてくれる。(江口祐里)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)
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